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記事全文を読む→上田慎一郎「内野さんが『こういう方が面白くない?』」/テリー伊藤対談(2)
テリー 内野さんも相当気合が入ってたんだね。
上田 そうですね。毎回、付箋がびっしり貼られた脚本を内野さんが持ってこられて。「こういう方が面白くない?」とか、積極的にアイデアも出してくださいました。
テリー あ、そう。でも、それは逆にプレッシャーだなぁ。監督の狙いも当然あるわけだし、「絶対こっちがいい」っていうのもありますよね。
上田 でも悔しいかな、やっぱり歴戦の猛者だし、自分のキャラクターにフォーカスして徹底的に考えてるから、だいたい内野さんが正しいことが多かったですね。だから、最初の頃は台本に色々ダメ出しをされました。
テリー 例えば?
上田 印象に残ってるのは、原作ドラマでは内野さんの熊沢っていう役はマ・ドンソクが演じてるんですよ。マ・ドンソクって、熊みたいに大きいんですけど。だから、「原作に引きずられすぎじゃないか。もう少し小市民っぽい名前の方がいいんじゃないか」って言われて、「なるほど」と思って、名前を「小島」にして全部書き直したんですよ。そしたら、それを見て「すごくよくなったと思う。じゃあ熊沢に戻そう」って。
テリー おおっ、何それ!
上田 すごい導かれたんですよね。内面は小島っていう名前で書き直すことが大事で、名前自体は熊沢の方がよかったという。
テリー 内野さん、格好よすぎだな。
上田 あと、ギリギリまで妥協せずにずっと考えてくださる方なので。クランクイン直前まで熊沢ってメガネなしの設定だったんですよ。メガネをかけたマジメなサラリーマンって、ちょっと記号的すぎるかなって。
テリー そうですよね。
上田 でも、クランクインの前日に、内野さんから「今ちょっとメガネ屋にいるんだよ」って電話がきて(笑)。「ちょっと見てくれ」って、メガネをかけてる写真が何枚かメールで送られてきたんですよ。「このメガネならやれる気がするんだけど、どう思う監督?」って。だから、熊沢がかけてるメガネは内野さんが買ってこられたものなんですよ。
テリー 面白いな。やる気満々だね。
上田 ほんともう「心中するつもりでやるよ」って言ってくださって。
テリー すごいよね、今の話を聞いただけでもすごく熱のあるいい現場だったんだなって気がするけど。一方で天才詐欺師は岡田将生さんですよね。これはどういう意図だったんですか。
上田 岡田さんはもう、日本でこの役をやるなら岡田さんしかいないって満場一致で決まりまして。まず原作ドラマのタイトルが「元カレは天才詐欺師」という、超イケメン天才詐欺師の設定なんですね。だからイケメンで、かつ味方にも、裏切りそうにも見える危うさみたいなところを持った岡田さんにお願いしました。
テリー 内野さんから見ると、コンビを組んでるから味方のはずなんだけど、「俺のことダマそうとしてるんじゃないか」っていう。
上田 何をたくらんでいるのか、底知れなさみたいなものをずっと漂わせることができるんですよね。そのあたりも含めて、もう岡田さんしかいないなっていう感じでしたね。
テリー で、この2人の標的になるのが脱税王の小澤征悦さん。
上田 コミュニケーション能力が高く好感度も高いビジネスマンに見えて、裏ではどす黒いことをしているっていうのが小澤さんにはすごくハマるんじゃないかなって思って。メチャクチャ楽しんで演じてくれて、うれしかったですね。
ゲスト:上田慎一郎(うえだ・しんいちろう) 1984年、滋賀県出身。中学生の頃から自主映画を撮りはじめ、独学で映画を学ぶ。2009年、自主映画制作団体を結成。10本以上を監督し、国内外の映画祭で46冠を獲得。2018年、初の劇場用長編「カメラを止めるな! 」が2館から350館へ拡大する大ヒットを記録。その後、「スペシャルアクターズ」(2019年)、「100日間生きたワニ」(2021年)、「ポプラン」(2022年)が劇場公開。2023年には縦型短編監督作「レンタル部下」が第76回カンヌ国際映画祭による「TikTokShortFilmコンペティション」にてグランプリを受賞。最新監督作「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」が、11月22日(金)より新宿ピカデリーほかで全国公開される。
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