なんとか昇格したものの、いざJ1での戦いとなると、苦戦するチームは少なくない。いい成績を残せず、1年でJ2に舞い戻る「エレベータークラブ」も珍しくないのだ。しかし今季は、昇格した2チームが好成績を残している。
FC町田ゼルビアは残留争いどころか、優勝争いに加わった。東京ヴェルディはシーズン開幕前はJ2降格の最有力候補とみられていたが、残り1節の時点で6位につけている。
では東京ヴェルディはなぜ、上位に入ることができたのか。城福浩監督みずから名良橋晃氏のYouTubeチャンネルに出演し、その理由を激白している。
「20位に予想されていたのは知っていたが、まぁ当然だな、と。クラブの規模もそうだけど、経験値や選手層からいったら、J1で実績のある選手がほとんどいないわけだから。選択肢がないから、選手を成長させるしかない。だからあまり迷わなかったのは、すごく助かった。俺らは選手を取っ替え引っ替えするわけにいかないし、成長に全神経を集中していた」
チームの若さも躍進の原因だとして、
「選手にはいい時もあれば、悪い時もある。だから前半の45分で替える時も何回もあった。それは実績のある選手の集団だったらできない。若い集団だから、みんな受け入れてくれる。マネージメントがすごい大変だったかというと、そこまで気を使ったわけではない」
ディフェンスを4枚から3枚に戦術変更したことも、チームがよくなった理由であると、城福監督は考えている。第15節の町田戦に0-5で大敗すると、第16節のヴィッセル神戸戦から3バックに変更し、1-0で勝利を収めた。所属する選手を考えて、4バックの方がいいと判断したからだ。そして変更の時期もよかったと、城福監督は自身の采配を自画自賛する。
「神戸戦の前に0-5で負けたから、変えるんだったらもう今しかないなと思った。(前のルヴァンカップの試合から)中3日で神戸戦なので、普通だったら代表ウィークとか時間がある時にするけど、あえてそこで変えたんです。あの大敗があって、ここで変えなきゃ選手は受け入れないだろうな、と」
戦術面では、常に選手に言い続けていたことがあった。
「寄せて(相手)選手のプレーに制限をかけて。後ろを向かせてバックパスさせて、相手陣内でボールを奪った瞬間がいちばんのチャンスであって、そうすれば最後に自分のところにボールがこぼれるっていうことは、それこそ呪文のように言った。どんなすごいゴールを決めても、その前のシーンでこれだけプレッシャーをかけた選手がいて、これだけ3度追いしてラインを上げるやつがいて、ヘディング競うやつがいたからこうなった、ということを、映像を1分ぐらい巻き戻して見せるということをずっと(した)」
こうして東京ヴェルディは上位に食い込んだというのである。
そんな城福監督は、ゴールや勝利時のエビ反りガッツポーズが話題となっているが、
「自然とやってたけど、もうやめようかな。あの瞬間、人を意識してるわけじゃないんだけど、こいつ反りがちょっと少なくなったな、とか言われるのも嫌だし、なんとなく自制心が働いちゃってるかな」
そんなことを言わず、今後も続けてはどうか。来シーズンは今年以上にガッツポーズが見られるに違いない。
(鈴木誠)