社会

田母神政経塾 ー18歳以上の選挙権を認める法案提出 少年法も引き下げ道徳教育を強化せよー

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 与野党6党は2月上旬、選挙権を現状の20歳以上から18歳以上とする公職選挙法の改正案を国会に提出することで一致しました。法案を協議しているのは自民党、公明党、民主党、維新の党、次世代の党、新党改革の6党で、早ければ来年夏の参院選から満18歳からの選挙権が認められることになりそうです。

 世界を見渡しますと、選挙権を20歳以上としているのは日本など数カ国しかなく、18歳以上の場合が圧倒的に主流です。アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国は全て選挙権は18歳以上であり、サミット参加のG8の中で18歳以上に選挙権が与えられていないのは日本だけです。中には16歳以上(オーストリアなど)や17歳以上(インドネシアなど)も存在し、アラブ首長国連邦の「25歳以上」が最高齢です。

 我が国の選挙権は、大日本帝国憲法下では「25歳以上の男子」で、日本国憲法で「20歳以上の男女」とされ、現在まで続いています。少子高齢化により世代ごとの人数バランスが崩れているため、選挙権の引き下げが必要だと指摘されています。

 18歳といえば、高校を卒業して大学に進んだり、就職をする年齢です。昔は15歳で元服でしたが、現代も18歳ならば判断力もあるでしょうし、今回の引き下げは妥当でしょう。

 ただし、選挙権を18歳以上とするなら、他にも見直すべき点があると思います。18歳までに「独り立ちできる大人とする」ことを考えるべきで、それには家庭教育の重視が必要です。

 戦後の日本は核家族となり、日本の伝統文化が祖父母から伝わりにくい世の中となりました。子供を保育園に預け、夕方や夜に迎えに行くという繰り返しですが、昔のように、おじいちゃんやおばあちゃんにいろいろな話を聞いたり、時には叱られたり、という機会がなくなってきています。

 荒れる成人式と言われるとおり、若者の精神年齢の低さが指摘されていますが、代々伝わってきた教えが継承されなくなったことと無関係ではありません。大人になるための家庭教育がおざなりにされ、偏差値教育を徹底した弊害が今の世の中を作っています。大人の自覚が足りないわけで、こうした教育の中身も見直されるべきだと感じます。

 安倍総理は道徳教育を重視する教育改革を考えています。大人になるための人間教育や日本人教育をきちんとやれば、18歳以上という選挙権も意味のあるものになるでしょう。

 現在の陸上自衛隊・高等工科学校は、中学を卒業後、自衛隊に入る若者のための高校です。3年間で普通科高校と同じ一般教育のほか、自衛隊の技術を習得する専門教育や防衛基礎学を学びますが、ここの教育を受けた若者はきちんと大人になります。

 つまり、人間には教育が大事であり、教育しだいで人間性が磨かれるのです。そういう意味でも、中学校で道徳教育を徹底することが必要であり、選挙権引き下げとともに、道徳教育もセットで考えてほしいものです。

 また、選挙権を18歳以上とした場合、少年法との兼ね合いが指摘されています。18~19歳が選挙違反をした場合、成人と同じように公民権停止や連座制を適用するかどうか、という問題です。日本弁護士連合会では「少年の要保護性に着目し、その更生を援助する少年法の理念に反する。選挙権引き下げには異論はないが、選挙違反について成人同様とするのは反対だ」としています。

 選挙権を与えるということ自体、大人であると認めることですので、少年法自体を20歳未満とするのではなく、18歳未満としたらいいのです。18歳までに成人になれるように道徳教育を強化し、「18歳以上は大人である」という認識を広めていけばよいのです。

◆プロフィール 田母神俊雄(たもがみ・としお) 1948年生まれ。第6航空総隊司令官、統合幕僚学校長を経て第29代航空幕僚長に就任。08年10月、自身の論文にて政府見解と異なる主張をしたことで職を解かれる。08年11月定年退官。公式HP: http://www.tamogami-toshio.jp/

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