芸能

松村邦洋「最近は『野良犬』も言えない局がある」/テリー伊藤対談(3)

テリー もし江戸時代に生まれてたら武士なのか、農民なのか、町人なのか。まっちゃんはどのポジションがいい?

松村 僕は町人ですかね。お金がたくさんある、いい生活がしたいですね。

テリー 日本橋あたりで?

松村 団子を食いすぎてるような。何かちょっと暖簾から顔出してる。

テリー その頃の町人って気楽だったの?

松村 そう思いますね。

テリー いつが一番気楽だったんだろう。江戸時代の中でも。

松村 やっぱり田沼意次の時代ですかね。特にエンタメ業界は潤って、広がっていった時期だと思います。

テリー それは歌舞伎っていうこと?

松村 歌舞伎もそうですし、落語も。江戸の文化がどんどん広がっていったと思います。僕が子供の時は社会の先生が、松平定信の寛政の改革=質素倹約っていうのはいいことのように言っていて、「田沼意次みたいな賄賂をもらうのは悪い人だよ」って教えてくれたんですけど、やっぱりたくさんお金を使ってくれる田沼意次のほうが、芸人はありがたいですね。今はお金もコンプライアンスも厳しい時代ですもんね。

テリー いやあ、確かにそうだね。

松村 今はちょっと生放送で発言したら、「何だ、あの発言は」「あんな考え方はダメだ」って言われますからね。和田アキ子さんでさえ「トド」って言っちゃいけないようなね。「すみませんでした」って謝らなきゃいけない時代ですから。

テリー 許さないんですよね。

松村 許さないです。「僕、中山美穂さんの『毎度おさわがせします』の大ファンで」って言うと、「あ、そういう話はあんまり」って言われるんですよ。「下着姿になったシーンとかの話はなしで」って。

テリー そうなんだ。

松村 今は「野良犬」も言えない放送局があるんですよ。「地域の犬」っていう言い方にしてくれって。

テリー ええっ、野良犬ってダメなの?

松村 放送局によりますけどね。「できれば野良犬って言い方じゃなくて、地域の犬にしてください」って。

テリー へぇ、今そんなことになってるんだ。初めて聞いた。

松村 だから、ほんとテリーさんの「元気が出るテレビ」の頃とは、だいぶ変わっちゃいましたよね。

テリー 特に言葉狩りがすごいよね。

松村 ツービートの漫才なんか、今オンエアできないですもんね。「川俣軍司はグンゼのパンツ」とか、ああいうのを見て「芸能界いいな」「おもしろいな」って、この業界に入ったんですけど、いつの間にか「言葉には気をつけてください」っていう時代になってしまって。

テリー そうだなぁ。

松村 だからテリーさんの弟子の土屋敏男さんとかは、「放送業界はダメだな」って言って、今は影を潜めてる感じですよね。昔「電波少年」のスタッフだった人たちもみんな、ほのぼのする番組をやりながら虎視眈々と次のチャンスを狙ってるんじゃないですかね。「いつかやってやるぞ、この野郎」っていう。

テリー そういう機会があるといいけどね。

松村 どうでしょうね。「時代の流れが変わったらいつでも出てやるぞ」ってみんな思ってるような気がするんですけど。でもテリーさんは厳しい中でも、「何かできないか」って戦ってるところがいいですよね。

ゲスト:松村邦洋(まつむら・くにひろ)1967年、山口県生まれ。大学在学中に出演したモノマネ番組で敢闘賞を受賞。その後、テレビ西日本でケーブルさばきのアルバイトをしていたところ、片岡鶴太郎に見出され、芸能界入り。1988年、大学を中退して上京。1992年、「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」(日本テレビ系)で披露した高田文夫氏のモノマネ「バウバウ」でブレイク。同年スタートの「進め! 電波少年」(日本テレビ系)や1993年スタートの「松村邦洋のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)などで人気芸人の地位を確立する。現在は「アッコにおまかせ!」(TBS系)、YouTube「松村邦洋のタメにならないチャンネル」などで活躍中。最新著書「松村邦洋 懲りずに『べらぼう』を語る」(プレジデント社)発売中。

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