芸能

松村邦洋「渡辺謙さんの田沼意次が楽しみ」/テリー伊藤対談(4)

テリー もう大河ドラマでも4回ぐらい取り上げられてると思うけど、俺ね、「忠臣蔵」っていろいろ不思議だなって思ってるんですよ。

松村 何でですか。

テリー 例えばね、何で浅野内匠頭は吉良上野介を刺さなかったんだろう。

松村 いやあ、でも江戸城内は長い太刀は持てなかったんじゃないですかね。

テリー そうなんだけど、あれ斬ってるじゃないですか。斬ったら人は殺せないですよ。刺さないと。

松村 そうですね。でも、もしかしたら江戸時代は、実戦がまったくなくて、剣術は練習でしかやってないから、刺したほうがいいっていうことが、体に染みついてないのかもしれないですね。戦を知ってる人たちがいない時代ですから。

テリー なるほどね。あとさ、瑤泉院(内匠頭の正室)は何で四十七士に「仇討ちなんかしちゃダメ」って言わなかったんだろうとか。「あなたたち仇討ちなんかすると、みんな死ぬわよ」「絶対、仇討ちなんかダメ」って言えばよかったのに。だから、しょうがねえ女だなって思うんですよ。

松村 はぁ。でも、「仇討ちはしてくれよ」と思ったんでしょうね。やっぱりやられたらやり返すんですよ。

テリー でも、おかしいのは仇討ちの相手って、本当は即日切腹を申しつけた将軍じゃないですか。将軍に斬りかかるならわかるけど。

松村 将軍への怒りはあっても将軍にはいけないんでしょうね。でも、本当は将軍ですよね。

テリー 将軍にいかないと仇討ちにならないじゃないですか。だから、吉良も被害者だよね。

松村 そうすると吉良がメインの赤穂浪士があってもいいかもしれないですね。「吉良上野介」っていう大河ドラマが。日本昔話の「桃太郎」なんかも逆にして「鬼ヶ島」っていう。

テリー ああ、俺、桃太郎もおかしいと思うんだよ。だって鬼は鬼ヶ島で普通に生活してただけなのに、そこへ行って退治するわけでしょう。ひどい話だよ。

松村 吉良の立場から赤穂浪士を見たらそういうことですよね。だけど、泉岳寺には見物人がいっぱい来ますからね。桃太郎だって、「鬼を退治して見事だ」ってなりますから、やっぱり歴史は勝ったほうが、負けたほうを裁くという。

テリー まぁ、そういうことだね。

松村 四十七士の討ち入りの前って、もう江戸中が「討ち入りがあるぞ」って知っていて楽しみにしてたんですよ。それで「どうやって見物しようか」って櫓を組んだりしてたんです。もっと言うと、江戸って区画ごとに木戸が閉まっていて夜は往来できないんですね。

テリー じゃあ、朝にならないと通れないんだ。

松村 それなのに通れたのは、たぶんそういう空気を読んで、役人たちが木戸を開けてたんじゃないかと思います。

テリー なるほど、おもしろいねぇ。

松村 赤穂浪士もおもしろいですけど、今度の蔦重の話もおもしろいと思いますよ。

テリー まっちゃんが楽しみにしてるのはどのへん?

松村 僕はやっぱり田沼意次ですね。これ、演じるのが渡辺謙さんですから、ただの「悪徳老中」みたいな感じで描かれるはずはないんですよ。政治のスペシャリストとして見直されるんだと思います。で、前半はほぼ主役のような形で出てくるんじゃないかと。

テリー へぇ。

松村 「西郷どん」の時も渡辺謙さんが島津斉なり彬あきら役で、西郷隆盛役の鈴木亮平さんと絡んでいったんですよ。だから今回も同じように、蔦重の横浜流星さんと渡辺謙さんの、2人のドラマのような前半になるんだと思いますね。

テリーからひと言

 せっかくまっちゃんにいろいろ教えてもらったから今回の大河は見てみようかなぁ。吉良目線の赤穂浪士も見たいね。まっちゃん、企画立ててNHKに持っていってよ。

ゲスト:松村邦洋(まつむら・くにひろ)1967年、山口県生まれ。大学在学中に出演したモノマネ番組で敢闘賞を受賞。その後、テレビ西日本でケーブルさばきのアルバイトをしていたところ、片岡鶴太郎に見出され、芸能界入り。1988年、大学を中退して上京。1992年、「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」(日本テレビ系)で披露した高田文夫氏のモノマネ「バウバウ」でブレイク。同年スタートの「進め! 電波少年」(日本テレビ系)や1993年スタートの「松村邦洋のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)などで人気芸人の地位を確立する。現在は「アッコにおまかせ!」(TBS系)、YouTube「松村邦洋のタメにならないチャンネル」などで活躍中。最新著書「松村邦洋 懲りずに『べらぼう』を語る」(プレジデント社)発売中。

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