スポーツ
Posted on 2025年01月28日 17:58

横綱・豊昇龍誕生…全会一致の横綱審議会で「異論なし」の切実な理由

2025年01月28日 17:58

 これで第74代横綱・豊昇龍が正式に誕生することになった。

 日本大相撲協会の諮問機関である横綱院議委員会(横審)の定例会合が1月27日に両国国技館で開催され、初場所で2度目の優勝を決めた大関・豊昇龍の横綱への推薦を全会一致で決めた。1月29日に昇進の伝達式が行われる。

「もう少し議論があると思ったんですけどね…」

 この決定に首をかしげるのは、とある相撲ライターだ。

「というのも、初場所の豊昇龍は12勝3敗で、平幕力士2人と並び、巴戦の優勝決定戦に連勝という、薄氷を踏む戦いでしたから」

 横審の内規では「大関の地位で2場所連続優勝、またはそれに準ずる成績」という横綱昇進条件が存在する。豊昇龍は昨年九州場所の千秋楽、大関・琴櫻との相星決戦に敗れ、13勝2敗で優勝を逃した。優勝に準ずる成績ということで、初場所は琴櫻とともに綱取り場所となったが、9日目までに平幕に3敗を喫し、綱取りの夢は潰えたかに見えた。

 終盤は気力が充実し、圧巻の相撲で優勝争いに並ぶと、優勝決定戦で金峰山と王鵬を連続撃破して賜杯を掴み取った。だが直前2場所で計5敗での横綱昇進は平成以降、最多。しかもその前の秋場所は8勝7敗だった。

 それが先の相撲ライターが疑問を抱く原因となっているのだ。

 横審は相撲に深い理解のある各界の有識者で構成され、委員の定数は最大で15人。任期は1期2年で、最長で5期10年。成績優秀な大関を横綱に推薦し、また成績不振に陥った横綱に「激励」「注意」「引退勧告」などを通知できる。横綱の言動に目を光らせるご意見番的な立場ではあるが、スポーツ紙デスクが嘆くには、

「今はもう、ずいぶん優しくなったのでしょうか。以前なら豊昇龍の成績にケチをつける委員が少なからずいたと思うのですが」

 さしたる議論が行われず、わずか8分の会合で横綱に推薦した背景について、このスポーツ紙デスクが踏み込んで言う。

「やはり横綱・照ノ富士が初場所中に引退したことが大きかったのでは。ここで新横綱が誕生しなければ、相撲界は平成5年(1993年)初場所以来、32年ぶりの横綱空位という異常事態に陥ってしまう。横綱に相応しい大関がいなければそれも仕方ないのですが、大相撲は興行ですからね。看板である横綱がいないという状態は、できれば避けたかった。もしも照ノ富士の引退がなければ、豊昇龍はすんなりと横綱に昇進できなかったかもしれません。逆に言えば、協会は責任を豊昇龍ひとりに背負わせたことになる。もし成績が伴わなければ、責められるのは豊昇龍ですからね」

 豊昇龍は叔父・朝青龍のような圧倒的な実力で、相撲界を引っ張ることが求められる。

(石見剣)

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