橋下市長の改革方針におびえている人々は他にもいる。
市内の40代の障害者施設の男性職員は怒りを隠さない。
「ウチの施設には、知的障害者が十数人いてます。40代~60代で、みんなで内職をしてますが、1カ月の給料は1万円ですわ。市から補助金が切られたら、やっていけない。これは、弱者切り捨てです。理不尽以外の何物でもない」
昨年末の「戦略会議」では、生活保護行政の見直しについて、橋下市長はこう言及した。 「国の制度の言いなりになっていては、大変なことになる」
大阪は全国で最も生活保護受給者が多い。それだけに、財政負担が大きく、国が制度の見直しをしなければ、受給認定業務を返上するとまで言っているのだ。
釜ヶ崎反失業連絡会共同代表であり、神父の本田哲郎氏はこう話す。
「今までの大阪市は、まずホームレスをなくそうということで、生活保護の適用を広く解釈していました。だから受給者数が全国一なのは当然です。もしここで適用を厳格にすれば、せっかく畳の上に上がった人たちが、また路上に逆戻り、ということになるでしょう。財政負担一本槍で生活保護を考えるのではなく、橋下市長には最下層の人たちへの目配りもきちんとやってほしいものです」
実際に、釜ヶ崎の労働者の男性は、すでに諦めの境地に達したようで、こう嘆くのだった。 「真綿でジワジワ首を絞めるのが平松。切れ味鋭い刀でバッサリやるのが橋下。どうせやられるなら、橋下のほうが楽かもしれん」
ここまで橋下市長がコストカットに躍起になるのはなぜなのか。そもそも大阪市はそれほどまでに財政が逼迫しているのか。
「生活保護受給者の増加など、財政改革は必要でしょう。しかし、破綻寸前のように考えられては困ります。06年度から始まった『市政改革基本方針』によって、人件費や外郭団体への補助金はこの5年間で約9000億円削減されています。市の借金である市債残高も4000億円減らしている。中期的な財政は改善されているんです。市債の格付けも他の政令指定都市に比べても悪くないのが現状です」(前出・木村氏)
やはり、「財政再建」のためではなく、「大阪都構想」実現のためのコストカットと言えそうだ。橋下市長は昨年末の「府市統合本部」発足の初会合で、「二重行政のムダを省き、4000億円の税収を増やす」と大見得を切ったのだが‥‥。
前出・木村氏が言う。
「大阪は中小企業の街ですから、その中小企業にお金が回らなくては、景気はよくならない。しかし、橋下市長が打ち出す経済政策は『カジノ構想』や『リニアモーターカー構想』と大企業が潤う政策ばかりで、本当に大阪市民が幸福になれるのか疑問は残ります」
公務員を血祭りに上げるのもいいが、「大阪解体」だけで終わらないことを祈るばかりだ。
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