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記事全文を読む→藤原喜明「アリ戦は最高の試合だったよ」/テリー伊藤対談(3)
テリー 付き人の時って休みはあったんですか。
藤原 シリーズとシリーズの間の2週間かな。その半分ぐらいは自由な時間だったよ。でも、休みの日だって、急に電話が鳴ったりするからな。それに備えて、いつでも臨戦態勢だよ。
テリー そういう生活の中で猪木さんから何を一番学んだんですか。
藤原 学んだこと? 「カバン持ちにも自分のウンコが付いたパンツは洗わせるな」じゃないの。やっぱりウンコの付いたパンツを人に洗わせちゃダメだよね。当時はウォシュレットなんかないからね。
テリー アハハハハハ。
藤原 いやいや、お前笑うけどさ、そういう奴っていっぱいいるんだよ。でも、猪木さんはさせないから。そういうのを見たら、やっぱり「この人すごいな」と思うじゃない。
テリー 猪木さんは新日本プロレスのトップじゃないですか。その人のカバン持ちをやれるって光栄なことなんですか。
藤原 俺は猪木さんの前は、(山本)小鉄さんのカバン持ちを2年ぐらいかな、やってたんだ。それで小鉄さんが「こいつは優秀だ」って、「今日からお前は猪木さんのカバン持ちになれ」って推薦してくれたんだ。
テリー それってうれしいんですか。
藤原 いや、そんなのわかんないよ。まだ25歳のガキだもん。そんなこと考える余裕もなかった。
テリー 結局、猪木さんのカバン持ちは何年やったんですか。
藤原 臨時を含めて10年以上だな。
テリー 実は猪木さんはこの対談にも出てくれたことがあって。すごいアイデアマンでしたよね。その時も「新しいエネルギーを開発したんだ」って言ってて。実は僕は説明を聞いてもよくわからなかったんですけど、「このエネルギーが地球を救うんだ」って言ってましたよね。
藤原 永久機関だろう?
テリー そうそう。何だったんですか、あれは。
藤原 要するに何も使わないで電気を作るっていう話なんだよ。でも、言ったんだ。俺、工業高校卒だからね。「猪木さん、それはアルキメデスの時代からいろんな人たちが考えてるんですけど不可能なんです。食材なしにチャンコはできないでしょう。無から有はないんですよ」って。
テリー おもしろい(笑)。言いましたか。
藤原 言ったんだよ。そしたら「わかった、わかった。でもな、できてるんだよ」って。だから俺は「ダマされてるんですよ」って言ったんだけどな。そしたら、「お前は夢がない」って。
テリー あれは猪木さんがダマされてたんですか。
藤原 あたりめぇだよ。
テリー 猪木さんってすごく優秀なところとそうじゃないところが混在してましたよね。
藤原 誰も考えないようなバカなことを考えるからスーパースターなんだよ。
テリー そりゃそうだ。僕ね、実は今、いろいろ調べてることがあるんですけど、この前、康芳夫さんという方が亡くなったんですよ。猪木さんとモハメド・アリの試合をプロモートした人なんですけど。
藤原 ああ。
テリー あの試合はどう思いました?
藤原 あれは最高の試合だったよ。美しいし、「人生とは何か」とか、いろんなことを考えさせてくれる名勝負。
テリー でも、凡戦だったって言う人もいますよね。
藤原 それはバカだからだよ。何もわかってない。要するに勝負っていうのは死ぬか生きるかなんだ。負けたら、そいつの一生はほとんどダメになるし、一銭も稼げなくなる。それが本当の真剣勝負でね。やっぱりあれは昭和最後の真剣勝負だったよ。
テリー なるほど。
藤原 あの時のアリのギャラは20億円だかで、猪木さんは負けたら会社も潰れるし、破産しただろうからな。アリだって負けたらすべてを失うわけ。それを賭けて戦ったんだから、あんなギャンブルはやっぱり猪木さんにしかできないよ。
ゲスト:藤原喜明(ふじわら・よしあき)1949年、岩手県生まれ。地元の高校を卒業後、機械メーカーの工員やコックなどを経て、1972年「新日本プロレス」入門。新人時代からカール・ゴッチに師事し、のちに“関節技の鬼”と呼ばれる。アントニオ猪木のスパーリング・パートナーも務めるなど、その強さには定評があった。1984年「第1次UWF」に参加。その後、「新日本」復帰、「第2次UWF」参加を経て、1991年「藤原組」旗揚げ。解散後はフリーランスとして「新日本」を中心に多くの団体に参戦。また「組長」の愛称で独自のキャラクターを確立し、プロレス以外に俳優、ナレーター、声優などでも活躍。「猪木のためなら死ねる! 2『闘魂イズム』受け継ぎし者への鎮魂歌」(宝島社)発売中。
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