業界の盟主・新日本プロレスの人気の翳りを示すような事態が起きていた。
2025年6月30日をもって愛知県体育館(名古屋市)の一般利用が終了するのに伴い、新日本は最後の愛知県体育大会を6月29日に開催する。
これまで数々の熱戦が繰り広げられた会場に華を添えるように、社長の棚橋弘至が初の全面プロデュースを実施。大会名は「TANAHASHI JAM~至(いたる)」と銘打ち、社長自ら会場の演出、戦いたい相手や見たい対戦カードを手掛けるという。
第1試合からレジェンドの藤波辰爾が参戦すれば、第2試合では本隊の最強メンバーと極悪軍団ハウス・オブ・トーチャー(H・O・T)が激突。ベルトを掛けた戦いも目白押しで、NEVER無差別級選手権、NJPW WORLD認定TV選手権、IWGP世界ヘビー級選手権が用意される大盤振る舞いだ。
その上、ダブルメインイベントの第8試合では、同じ時期にプロレス界を支えてきた棚橋と、プロレスリング・ノア(NOAH)に所属する丸藤正道の、夢のタッグが実現。団体の未来を担う清宮海斗(NOAH)と大岩陵平(新日本)組を迎え撃つこととなった。
最後の愛知県体育館大会まで1週間を切る中、格闘技ライターはなぜか渋い表情を浮かべてこう話すのだ。
「全対戦カードを見ても人気選手の出し惜しみはなく、1・4東京ドーム大会級のボリュームなのですが、チケットの売れ行きがどうも芳しくないのです。最も高額なロイヤルシートは完売したものの、特別リングサイド、2階特別席、2階指定席はまだまだチケットに余裕がある厳しい状況のようで…。5月にスター選手の内藤哲也が電撃退団した影響や、お決まりの乱入の試合内容に不満を持つ声が多く聞かれ、新日本の深刻なファン離れが浮き彫りになってしまいました」
このままズルズルと下降線をたどってしまうのか。毎年夏の一大イベント「G1クライマックス」も差し迫り、真価を問われることになりそうだ。
(風吹啓太)