6月15日に行われた新日本プロレスの大阪城ホール大会で、ヘビー級最強を決める真夏の祭典「G1クライマックス」(7月19日~8月17日)の出場20名のうち、16名が発表された。
IWGP世界ヘビー級王座の後藤洋央紀らが順当に選ばれる中、新日ファンをどよめかせたのは、棚橋弘至のメンバー入りだった。
これまで団体だけではなく、業界のエースとして引っ張ってきたが、兼任する社長業へと専念することもあり、2026年1月4日の東京ドーム大会での引退が決まっている。
それに伴い、「ファイナルロード」と銘打って、思いを伝えたい選手との試合が組まれる中、いきなりトップ戦線の争いに加わることに。棚橋のラスト参戦に喜ぶファンがいる一方、思い出作りだと揶揄する声が広がった。
批判的な意見が多く聞こえてくる背景を、格闘技ライターが解説する。
「IWGPヘビー級王座のベルトを後藤が獲った時も、初防衛戦の相手は棚橋でした。社長パワーを使ってでしゃばりすぎだと映っているのかもしれません。そもそも最強を決める戦いで、コンディションが万全ではないことも疑問視されています。彫刻のようなバキバキの肉体美の持ち主でしたが、ここ数年は腹のたるみが目立ち、試合中に選手につままれてイジられることもあった。ただ、それよりも心配なのは、深刻な膝の状態です。試合中に得意技のスリングブレイド(走りながら相手の首に腕を回し、空中で旋回しながら床に叩きつける)を仕掛けた時、上手く回れないことがしばしば。見ている方がハラハラしてしまい、1カ月にわたるG1の過酷な戦いを乗り切れるとは思えません」
どこまで仕上げてくるのかだが、こうなったら有終の美を飾り、アンチを黙らせるしかない。
(風吹啓太)