6月3日に他界した巨人・長嶋茂雄終身名誉監督との「約束」をきっかけに、松井秀喜氏の巨人監督就任構想が再びクローズアップされている。
松井氏が巨人のユニフォームを着て東京ドームのベンチで采配を振るう、そんな「もしも」が現実になった時、コーチ陣にはどんな顔ぶれが並ぶのだろうか。カギを握るのは、松井氏が現役時代から築いてきた信頼関係のもと、メジャーで学んだ最先端の育成哲学を橋渡しできる顔ぶれである。確かな人間関係と指導歴に基づく布陣を考察してみよう。
まずヘッドコーチの最右翼とされるのは、巨人で2軍監督や1軍ヘッドコーチを歴任した川相昌弘氏だ。守備の名手として1984年に入団し、松井氏とともに主力を張った。引退後も1軍、2軍でのコーチ歴が長く、作戦サインや走塁の意思決定をチーム全体に浸透させた実績がある。
投手コーチには杉内俊哉氏が有力候補となろう。2019 年から巨人の投手コーチ、2024 年に投手チーフコーチに就任。ブルペンで球速と回転数と映像を併用したフォームチェックを導入し、四球削減とゾーン勝負を浸透させた。
打撃の屋台骨を二岡智宏氏が担うのはどうか。試合展開に合わせた打撃術を具体的な言葉で伝えられる指導者として、評価されている。そこに亀井善行氏が並べば、現場のリアルな温度をチームに呼び込めるだろう。
このほか、ファンの間からは、現役時代に確実なポジショニングで知られる古城茂幸氏(現・1軍内野守備コーチ)や、データと現場感覚を融合させる橋上秀樹氏(現・作戦兼戦略コーチ)、桑田真澄2軍監督の入閣を期待する声が聞こえてくる。また、松井氏ならではの国際的ネットワークを利用した外国人コーチが招聘されれば、ちょっとしたサプライズになるだろう。
これまで松井氏はフロントアドバイザーなどの活動が多忙なことから「現場復帰には慎重」とされてきた。しかし今回、公の場で現場復帰ともとれる発言をしたことで、かなり前向きになっていることがうかがえる。
球団上層部は「松井監督構想」のロードマップを水面下で温めてきた。人脈・実績・評価の三拍子が揃ったコーチ案は、「その日」が来た時に現実味のある青写真となるかもしれない。
(ケン高田)