「本当にやめてほしい」
「大谷や山本に絡まないでくれ」
野球ファンの悲痛な声が響き渡っている。これは元雨上がり決死隊でYouTuberの宮迫博之に向けられたものだ。
というのも、宮迫が5月8日(日本時間9日)、アリゾナ州フェニックス・チェイス・フィールドで行われたダイヤモンドバックス×ドジャース戦の始球式に登場したからだ。この日は大谷が「1番・指名打者」、山本由伸が先発登板しており、日本だけでなく世界中のファンが注目する一戦だった。
宮迫はTシャツに黒の半パンというラフなスタイルで登板。野球経験がないこともあり、マウンドよりも手前から振りかぶって、ワンバウンド投球だった。登板後は「お決まり」ポーズを決めている。もっとも、球場を訪れていたほとんどのファンは宮迫の存在を知る由もなく、乾いた空気が流れる始球式だったのは言うまでもない。
あまりにも「場違い」な人物の登場に「なぜ?」が渦巻く。実はメジャーリーグでは、始球式の権利を球団やスポンサー企業が購入し、その権利保持者が「誰に投げさせるか」を自由に選べる仕組みになっている。今回の始球式権を持っていたのは、靴の通販サイト「ロコンド」を運営する株式会社ロコンドの代表取締役社長・田中裕輔氏。田中社長が「投げませんか」と宮迫を指名したため、「始球式デビュー」を飾ることになったというわけだ。
大谷や山本を前になんとか始球式を成功させた宮迫は最後までホクホク顔だったが、日本の野球ファンの拒否反応はスゴかった。
「最悪、朝から気分が悪い」
「NHKは中継で取り上げないでほしい」
「2人とも公式な場でしかもMLBのスタジアムで絶対に見たくない」
これまでドジャース戦の始球式には、テニスの大坂なおみやミュージシャンのMIYAVI、現代美術家の村上隆氏らが登板した例があるが、お笑い芸人は初。ましてや宮迫は、反社会的勢力の会合に参加して金銭を受領し、芸能活動の自粛を余儀なくされている。批判的な声が上がるのは当然だろう。
NHK BSの放送では、始球式の様子は放送されなかった。宮迫にとっては残念だったかもしれないが、世間の反応を見る限り、正解だったといえよう。
(ケン高田)