北朝鮮の独裁者・金正恩総書記が「精神変調」に陥っている。日本を含む西側諸国の諜報筋が「戦慄の情報」をキャッチしたのは4月下旬のことだった。
きっかけとなったのは、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が報じた4月23日付の記事。「休むことも忘れて人民のために働く偉大なる指導者」を礼賛する内容だったが、その中で金正恩が三池淵(サムジヨン)にある「ジャガイモ粉工場」を視察した際、自ら口にした以下のような意味深発言が紹介されていたのだ。
「心労のためか、自分にはジャガイモの粉が『骨粉』に見える」
この報道を受け、韓国の一部メディアは「異常な精神状態にある金正恩が幻覚を見た可能性がある」などと指摘。またたく間に金正恩をめぐる「精神変調説」が西側諜報筋の間に広がっていったのだ。
健康状態を含めた金正恩の動静に詳しい国際諜報アナリストが指摘する。
「北朝鮮国内を覆う経済苦や食糧難をはじめとして、金正恩が限界を超えるストレスを抱えていることは事実です。そんな中、人民に対する引き締め策として、見せしめのための公開処刑を含め、残虐非道な処刑を繰り返してきた。そのような死屍累々の蛮行に対する報いとして、精神に衰弱をきたしつつある金正恩の目には、ジャガイモの粉が『骨粉』、すなわち『人骨の粉』に見えたと思われます」
精神変調の原因はそれだけではない。国際諜報アナリストが続ける。
「大酒飲みで知られる金正恩は近年、酒を飲みながら泣き崩れることが多くなったと言われています。このような情緒不安定はまさに、アルコール依存症の典型的な症状。それでも酒はヤメられないといいますから、精神はさらに蝕まれていくことになります。今後は『幻覚』に加えて『妄想』も激しくなっていくでしょう」
正気を失った独裁者が核のボタンに手を伸ばす。西側諸国にとっては「最も考えたくないシナリオ」である。
(石森巌)