フジテレビ第三者委員会の調査報告書によって「性暴力」と認定された中居正広氏の「反撃」が、波紋を広げている。中居氏の代理人弁護士が「暴力的または強制的な性的行為は確認されなかった」と反論したからだ。つまり「性暴力ではない」のだと。その上で第三者委員会に対し「性暴力だとする証拠の開示」を要求したのである。
そもそも中居氏とフジテレビ元アナウンサーの被害者X子さんの間を取り持ったのは、フジテレビ元編成局幹部のB氏(第三者委員会の報告書上の呼び名)。これまで明らかになっている事実関係によると、B氏は中居氏、被害者と同席した寿司店で「2人が付き合ってくれればいいのに」と話し、2人に連絡先の交換を促したという。その後、2023年6月2日、中居氏の自宅マンションで「事件」は発生した。
そして今、「週刊文春」が新たに、中居氏の肉声を紹介している。
中居氏から「事件」の相談を受けたB氏は、SMAPの番組を手掛けたことがある後輩と、中居氏の事務所で「作戦会議」を開いたといい、フジテレビの聞き取り調査には、次のような中居の言葉を報告していたという。
「X子とトラブルがあった日、彼女との関係性は悪くなかった。その後もメールは普通だったのに、だんだんと不穏な空気になってきて、連絡がつかなくなったんだよね。俺は同意の上の性行為だと思っていたんだけど、どうやら彼女は同意じゃなかったと思っていたみたい。どんどん彼女の感情が悪い方向に変わってきている感じがする」
そして、こんな本音を吐露していたのだと…。
「彼女からそう捉えられてしまった以上、自分が過ちを犯したのは間違いない」
被害者X子さんは複数のメディアで、中居氏の反論に疑問を呈している。
密室にいた中居氏と被害者のみが知る「真相」。今になって反論する中居氏だが、それでは「9000万円の示談金支払い」や「芸能界引退」、そして今年1月に公表した「全責任は私個人にあります」というお詫び文はいったい何だったのか。
第三者委員会は5月22日、中居氏の代理人弁護士の要求に対し、「証拠開示を差し控える」との回答書を送ったと明らかにした。フジ・メディア・ホールディングス及びフジテレビに対して守秘義務を負っていること、収集した資料の処分権を第三者委員会が持っていること、資料開示は調査協力に応じた人の信頼を損なうことが、その理由だ。
中居氏はこれにどう反応するのか。このままこじれるようでは、「解明」は難しいかもしれない。
(高木光一)