「真摯に反省をし、認識を深めていきます。(中略)私の発言は例外事例としても不適切であり、お詫びして撤回いたします」
一度は全面的に非を認め、そう謝罪したにもかかわらず、その後に「事実と異なる情報を発信された」と前言を撤回。さらに1年後には月刊誌に「発言が捏造されたものだった」とする手記を発表した国会議員がいる。「50歳と14歳の性交容認発言」で立憲民主党を離党し、その後、辞職した本多平直氏である。
現在、日本において性行為への同意を自ら判断できるとみなす年齢、つまり性交同意年齢は16歳と定められている。したがって、その年齢に達しない相手と性行為に及んだ場合、同意のあるなしにかかわらず、加害者として処罰されることになる。これは2023年に法改正されたもので、それまでの性交同意年齢は13歳だった。
さて、本多氏が(13歳からの)性交同意年齢の引き上げをめぐる、党の性犯罪刑法改正ワーキングチームの会合に出席したのは、2021年5月10日。会合は非公開で、会議室にいたのは座長の寺田学衆院議員ほか党政調職員、秘書、衆院職員など数名だった。
ところが6月に入り、産経新聞がその会合で本多氏が、次のように発言したと報じたのである。
「例えば50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。それはおかしい」
立憲民主党の福山哲郎幹事長は「厳重に口頭注意した」として、本多氏も発言を「不適切」と撤回するコメントを発表した。だが、騒動はこれだけでは終わらなかった。
というのも、この発言に関し、本多氏は倫理委に意見書を提出していた。そこで「録音・録画が存在していない」として、寺田氏が発言の一部を切り取り、歪曲してマスコミにリークしたと、名指しで批判したのである。
むろん寺田氏が黙っているはずはなく、「問題発言」後、本多氏から個別面談を求められた会話を含め、全てを録画・録音しているので「了解があれば録音を提出する」と反論。
すったもんだの挙げ句、党は本多氏に対し、党員資格停止1年とする方針を決定する。しかし本多氏は、処分が下る前日の7月27日朝に離党届を提出し、翌28日、議員辞職を発表したのである。
この騒動が人々の記憶から消えかかっていた1年後の2022年5月、突如として本多氏が月刊誌「文藝春秋」誌上で「発言は党によって捏造されたもの」との衝撃的な手記を発表。騒動がぶり返されることになった。
「言った、言わない」の真相はともかく、以降3年が経過してもなお、本多氏をネットで検索すると「本多平直14歳」といったスレッドが現れる。その事実にあらためて「50歳と14歳の性交」という言葉が世間の人々に与えたインパクトの大きさを痛感するばかりなのである。
(山川敦司)