今、阪神戦のテレビ中継で人気を博しているのが、岡田彰布前監督の解説である。
去る6月8日のオリックス戦でのこと。ABCラジオの解説を担った岡田氏の鋭いツッコミに、虎ファンは大喜びだった。
初回、オリックスは先頭の麦谷祐介が内野安打で出塁したもの、ニ盗失敗で先制のチャンスを潰してしまった。その盗塁失敗後、岡田氏はこうボヤいた。
「連敗で先制したい気持ちは分からんでもないんだけど、もったいないアウト。(阪神先発の伊原陵人は)クイックも速いし、なかなか難しい。当たっている廣岡、紅林を3番、4番に置いたんだから、2番はバントでよかったと思う」
オリックス初回の攻撃は、無得点に終わる。攻守交代の際、岡田氏は実況アナウンサーに試合のポイントを聞かれた。
「ブルペンの力には差がある。阪神は2点くらい(のビハインド)なら辛抱していけばチャンスはある。6回、7回でしょうね」
先に得点を挙げたのは阪神で、試合が決定的となったのは8回。やはり、オリックスの中継ぎ陣が打ち込まれた。4番手・川瀬堅斗がいきなり連続ヒットを食らい、凡フライで一死を取ったが、その後の選択を誤ってしまった。
ベンチは3回に3ランを放っている森下翔太を申告敬遠、この日はまだヒットが出ていなかった4番・佐藤輝明との勝負を選んだ。しかし、結果は満塁ホームラン。佐藤は「ナメんなよ」と言わんばかりに、バックスクリーン右へ飛んでいく打球を見るのを途中でやめ、バットを放り捨てて一塁に歩き始めた。これについては、
「(交代させる)ピッチャーがおらんかったから」
救援陣防御率が4.56でリーグワーストのオリックス・ブルペンの力量を指摘したのだった。
岡田氏はゲームセット後に試合総括のコメントを求められたが、初回の二盗失敗が全てだと語っている。日本一を経験した岡田氏と「1年生監督の岸田護」とでは、ゲーム展開を読む力に差があるの当然だ。
ちなみに佐藤の最終打席に出たホームランや好調な打撃のことを聞かれた岡田氏は、2つのエラーを記録したことに苦言を呈していた。噛み合っているようで噛み合っていないそんなやりとりも、虎ファンの間では話題になっている。
阪神が勝って、岡田節が聞けた。藤川球児監督も記者団との質疑で噛み合っていない時がある。噛み合わずとも、岡田節は虎ファンを楽しませてくれる。阪神の1年生監督との差も、さりげなく見せつけてくれたようである。
(飯山満/スポーツライター)