阪神特急が急停車である。セ・パ交流戦を6月8日まで5勝1敗と快調に走っていた阪神が、10日から15日までのビジター6連戦を、まさかの6連敗。これで5勝7敗ととなり、交流戦初優勝に黄信号が灯った。6月10日から14日まで、5試合連続逆転負け。さらに14日と15日は連続サヨナラ負けだった。
そんな低調ぶりを象徴する「事件」が、6月15日の楽天戦で起きた。2-2で迎えた延長11回表、阪神の攻撃時のことである。先頭打者の佐藤輝明は楽天・江原雅裕の甘い球を捉え、センター越えの大飛球を放つ。その瞬間、ホームランを確信した佐藤はゆっくりと一塁へ歩き出すが、打球はフェンスオーバーせず。佐藤は慌てて走り出したものの、なんとシングルヒットどまりだった。一塁ベース上でがっくりとうなだれる佐藤だったが、時すでに遅しである。
続く大山悠輔がレフト前ヒットを放っており、佐藤が2塁打としていれば勝ち越し、あるいは無死一・三塁のチャンスだった。その後、絶好のチャンスを潰した阪神は、サヨナラ負けを喫した。
この怠慢プレーに怒ったのは、テレビ解説で球場にいた阪神・岡田彰布オーナー付顧問である。
「慢心。論外やろ。これは大きいよ。セカンドに行くのと(行かないのでは)」
岡田顧問の怒りは試合後も収まらず、
「流れ変えたやんか。(無死二塁なら)点が入ってるやんか。見てみいよ。(今季)走ってないの何人おったか。ちっちゃい時やってお前、バット放って走るんやで、一塁へ。当たり前のことや。打ったら走る。それだけやんか」
小学生の時から叩き込まれてきたはずの、基本中の基本ができていない現状を嘆いたのだった。
幸か不幸か、セ・リーグ他球団も負けが込み、6連敗しても2位DeNAとのゲーム差は2.5ある。甲子園に戻る今週こそ、嫌な空気を変えたいところだが…。
(石見剣)