芸能人や著名人のインタビュー時に、意外な要求をしてくるケースは少なくない。最も多いのは質問内容の制限だが、その他にも掲載写真のチェックがある。これは主にアイドルや若い女優に多かったが、あるインタビューでこれを超える驚きの要求をされた経験がある。それはアイドルでも女優でもない、元女性アナウンサーだった。2016年のことだ。
彼女は民放キー局の元女子アナで、愛らしい容姿でバラエティー番組を中心に出演。1990年代から2000年代初頭にかけて、アイドル並みの人気女子アナとなった。その後、結婚して、フリーアナウンサーとして活動している。
筆者がインタビューしたのは、彼女が40代半ばくらいの頃だ。著書を出したということで、その内容に沿った話を聞くことに。
愛らしい顔立ちは変わらない。ただ、目元の小じわが非常に目立った。年齢の割に、かなり多い印象を受けた。濃いめのファンデージョンを塗っていたが、それが逆効果で、しわの多さを際立たせてしまっていた。
インタビューは写真を撮りながら行われたが、同行したカメラマンがシャッターを切るたびに、マネージャーから「その角度はやめください」「そこはダメです」などと頻繁に制止された。おそらく本人も小じわを気にしていたのだろう。小じわが目立つ位置から写真を撮られたくなかったようだ。
その気持ちはまぁ理解できるが、あまりの過剰反応に、カメラマンはブチ切れかかっていた。マネージャーとカメラマンの小競り合いと彼女の小じわが気になって、話があまり耳に入ってこなかったほどだ。
なんとか取材を終えたが、それでは終わらなかった。マネージャーから「使用する写真をチェックさせてほしい」との要求があり、掲載される写真選びにはかなりの時間を要した。
アイドルの取材で事務所から写真チェックを要求されることは珍しくないが、これほど厳しいチェックは初めてだった。「小じわNG」が本人の意向なのか、事務所の意向なのかは確認していないが、こんなことを続けていたらメディアから総スカンとなるのでは…と心配したほどだ。
その後、彼女の小じわがどうなったのかは知らないが、最近はラジオ番組などの仕事を中心に活動していると聞いている。
(升田幸一)