マリナーズ傘下3Aタコマ・レイニアーズの公式トランザクション欄に「RHP(右投手)Shintaro Fujinami released」と掲載された。自由契約にした、との発表である。
藤浪は1月17日にシアトル・マリナーズとマイナー契約を締結。1月30日に3Aタコマ・レイニアーズへ配属され、スプリングトレーニング招待選手としてキャンプに参加した。
シーズン開幕後は21試合に登板して2勝1敗、防御率5.79(18回2/3)、奪三振24、WHIP1.98(1イニングあたりに出した走者数)をマーク。6月11日のサクラメント戦では1回無失点で、これが3Aでの最終登板となった。メジャー通算成績は、64試合で7勝8敗、防御率7.18である。
代理人のスコット・ボラス氏による公式コメントは現時点では確認できず、市場での関心状況は未知数。だが制球難が改善せず、3Aでも結果を出せない31歳の投手を引き取るメジャー球団があるかといえば、なかなか懐疑的になってしまう。
本人はかねてから、アメリカでの挑戦に強い思いを持っているようだが、今後はどうなるのか。日本球界復帰の可能性を探ってみれば、まずは日本ハムの存在が浮上してきた。新庄剛志監督は日本ハムの指揮官となった際、こう言っている。
「俺、欲しい選手が1人いる。阪神の藤浪。俺のところに来たら化ける。オファーしようと思う。使わないんだったら、くださいよ」
当時、阪神でくすぶっていた藤浪を再生させることに、強い意気込みを示していたのである。
NPBの支配下登録選手枠は1球団70名までだが、6月17日現在、日本ハムは68名を登録しており、2枠の空きがある。新庄監督が今も「藤浪再生」のプランを持っていれば…の話だが、支配下枠調整さえつけば、新庄流改造で「化ける」ことを前提に、迎え入れることはできよう。
では古巣・阪神はどうかといえば、先発にこだわり続けるなどして結果を出さないまま、前指揮官・岡田彰布氏の不興を買い、自らアメリカへと飛び出していった。球団の心証はいいとは言えない。
ただ、今季から指揮を執る藤川球児監督は、かつて藤浪の成長を気にかけ、藤浪もまた先輩の助言を仰いだ。プライドが高く、なかなか聞く耳を持たないと言われる藤浪だが、藤川政権下ならば復帰のハードルは下がるかもしれない。ただ、それで制球難を一気に克服となるか、との疑問は残る。一説には「イップスではないか」との観測があるが…。
支配下枠の問題や代理人との交渉といった裏側を注視しつつ、「新庄再生工場」あるいは「藤川再生工場」で復活となるのか、アメリカ残留を含め、藤浪の選択を待ちたい。
(ケン高田)