社会
Posted on 2025年06月22日 09:58

【楽しいネコ学】わが家の4匹の「鳴き声の違いと種類」で分析…これが「猫語」だ!

2025年06月22日 09:58

 猫が話す言葉、猫語とはどんなものか。そもそも猫の言葉はあるのか。猫を飼っている人は誰でも「何をしてほしいか喋ってくれたらいいのに」と思ったことがあるはずだ。

 2023年の暮れに亡くなった中村メイコさんをインタビューしたことがある。メイコさんは2匹の猫を長年、飼っていた。猫がいる生活は気持ちが温かくなるそうで「猫語ができたら」と思い続けていた。しかし「ねえ」と話しかけるとうるさそうにして、スーッといなくなる。「そう言わずに付き合ってよ」と言いながら晩酌している、と語ったのだった。

 例えば「にゃんこ関西弁辞典」なんて本も出版されているが、猫のしぐさや動きから、何を言おうとしているかを表現したものだ。ここでは我が家の4匹の猫の鳴き声を言葉にしてみたいと思う。

 最もわかりやすかったのは、2021年にガンで死んだ「ジュテ」だった。拾われてきて飼い始めたジュテは、外に出たがる猫だった。マンションで飼っていた時は、玄関のドアを開けてくれるのを、佇んでジッと待っていた。開けてやると大急ぎで出かけ、トイレを済ませると、部屋のある3階まで帰って来る。

 最初はマンションのエントランス付近で鳴いているのだが、部屋に近づくにつれて声が大きくなり、マンション中に聞こえるほどの大きな声でギャオー、ギャギャオーと叫びながら、開けっぱなしの玄関から走って入ってくる。その声は「ただいま、ただいま、帰ってきたよ」という大きな声にしか聞こえなかった。

 狩猟、闘争本能が発達していたジュテはスズメを咥えて帰ってきたり、ネズミやゴキブリなどのお土産を咥えて帰ってくることも。そんな時は大威張りでギャアオ、ギャアオと声をあげた。これは「獲ったどー!」という雄叫びだろう。

 しかし9年前に戸建てに引っ越してからは外に出さないので、ジュテの元気な「ただいま」を聞くことはなくなった。ネズミもいないし、スズメが庭までやってきた時に、獲物を狙う構えを見せるくらい。戸建てはジュテにとって、あまりいい環境ではなかったかもしれない。

 別の猫「そうせき」は朝方、階段下から「アーウォ、アーウォ」と鳴き続ける。下に降りて行くまで泣きやまない。これは「来て、早く来て」だろう。

 最近、買ってあげた猫じゃらしが珍しくお気に入りで、毎日のように遊んでほしがる。リビングに行ってみると赤い舌を見せながら、すがるような目で「ミャッ、ミャッ」とかわいく鳴く。そして目の前には必ずといっていいほど、その猫じゃらしが転がっている。「遊んで、遊んで」と鳴いているのに違いない。

「これで遊ぶの?」と言うと、少し長めに「ミャーッ、ミャーッ」。さらに「そんなに遊びたいの?」と聞き返すと「ミャーッ」と返してくる。「わかった」と言って猫じゃらしを手にすると瞬時に飛び上がり、クルクル回してあげるとフィギュアスケートの選手みたいに3回転、4回転捻り。それから猫じゃらしを振り回すと連続して、ジャンプ、ジャンプ! とにかく楽しくて仕方がないらしい。

 そんなわけで、1日のうち2、3回は「遊んで」攻撃に付き合ってあげるのだった。

 真ん中の猫「クールボーイ」が得意なのは、人に懐かない猫の常套句「シャーッ!」。ひとりで押し入れにいることが多いので、声をかけてあげる「シャーッ!」を連発。時々、嫌になる。

 大きな変化が見られるのは、夜の8時前後。クールボーイは「夜8時の猫」だ。夕方に缶詰をあげるのだが、夜8時は体内時計がおやつタイムになるらしく、リビングをウロウロし出す。こちらをチラッ、チラッと見るのだが、知らんぷりを続けると、スポーツ選手が審判に抗議するみたいに近づいてきて「ギャオ、ギャオ」ときつい目つきで鳴く。

 これは「オレにも何かくれよ」「早くしろよ」「何やってんだよ」という猛烈な催促のようだ。近づくとスタスタと逃げるが、離れたところから「くれって言ってんだろ」「なんでくれないんだよ」という感じで「ギャオー」と声が伸び、睨まれる。

 それから「はい、わかりました」と、仕方なく「ちゅ~る」などをあげる。ところが器に近づき、鼻をヒクヒクさせながらニオイを嗅いで、気に入らないとプイッと横を向いて、さっさと行ってしまう。こちらとしては「あげたじゃないか」とムッとする。

 一番上の「ガトー」は、ほとんど鳴かない猫だ。ごはんが欲しい時に「ニャオ」と猫らしく鳴くだけ。時に必死の形相を見せるが、そんな時はジッと訴えるように、こちらを見る。

 こんなふうに猫たちと毎日、会話している。中村メイコさんも話しかけたりしながら、実はこうした会話をしていたのではないかと思っている。

(峯田淳/コラムニスト)

 

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