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記事全文を読む→「尻」をめぐる悪ふざけで女官にボコボコにされた「鎌倉時代の上皇」
悪ふざけが過ぎて、女官たちにボコボコにされた上皇様がいる。後深草天皇、のちの後深草上皇だ。
そのいきさつは「とはずがたり」という日記に「粥杖事件」として描かれている。この「とはずがたり」の作者は後深草院に仕えた後深草二条で、事件の当事者でもあったことからというから、信憑性がある話だ。
コトのきっかけは、建治元年(1275年)の正月に催された、とある行事だった。当時の宮中では女性の多産を祈願して、正月にお粥をかき混ぜるのに使う棒、つまり粥杖で女性のお尻を叩くという行事があった。なぜかこの年、後深草院は悪ノリしすぎたようだ。
例年よりも、粥杖で叩くためのスタッフを増員。女官の尻を数多く叩かせたという。М気質で快感を覚える女官はいたかもしれないが、大半はキレたに違いない。しかし、相手が相手だ。
その場で歯向かうわけにはいかなかったが、女性の味方は女性である。皇太子の生母である東の御方が後深草院の悪ノリぶりを快く思わず、復讐への協力を申し出たのである。
明くる日の朝食後、女官たちは後深草院がやってくるのを宮中で待ち伏せして取り囲むと、手にした粥杖で院の尻をボコボコに叩いた。この襲撃に院は深く反省したのか、それともビビったのかは分からないが、翌年以降は大量のスタッフを呼んで女官の尻を叩かせることはなくなったという。
事件後、院は周囲の公卿に愚痴をこぼしたため、公卿らは参加した女官に対し、親類縁者を含めての厳罰処分を求めた。だが二条らは、厳罰を下すとなると自らも処分の対象となることが分かり、うやむやになった。
後深草院は父・後嵯峨天皇の譲位を受けて、わずか2歳で天皇に即位したが、13歳でその座を弟である亀山天皇に譲った。これは後嵯峨天皇が逝去すると、天皇の座を巡って兄弟が対立したことによる。
結局は後深草院が相続争いに勝ち、実子を伏見天皇として即位させることに成功したが、確執は残り、後深草系(持明院統)と亀山系(大覚寺統)に分かれた。
南北朝時代を生むきっかけとなった人物だが、女官にボコられるとは、どこか憎めない気もする。
(道嶋慶)
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