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記事全文を読む→プロ野球「オンオフ秘録遺産」90年〈日本シリーズの歴史で唯一の暴力退場劇〉
それは今なお、1950年から始まった日本シリーズ(当初は日本ワールド・シリーズの呼称)において、「危険球退場」を除くとたった一度の退場劇として残っている。
69年10月30日、後楽園球場での巨人対阪急(現オリックス)第4戦だった。
阪 0 1 1 1 0 1 0 0 0=4
巨 0 0 0 6 0 2 1 0 ×=9
巨人は2勝1敗でこの戦いを迎えていた。阪急に3点のリードを許していたが、4回裏に絶好の反撃機をつかんだ。
無死から土井正三、王貞治の連打で一、三塁とし、打席に入ったのは4番の長嶋茂雄だった。
マウンドには宮本幸信が立っていた。長嶋はフルカウントからの6球目、ヘルメットを飛ばしながら空振り三振に倒れた。
後楽園に「ああっ‥‥」という悲鳴が上がりかけた、その時だった。
一塁走者の王が二塁にスタートしたのだ。捕手の岡村浩二は二塁の山口富士雄に送球。これを見た三塁走者の土井が本塁に突入した。重盗である。山口は二塁ベース前でカットし、すぐに岡村に転送した。
ボールは低く、ややそれた。長嶋のヘルメットが転がっていたため、土井はスライディングできなかった。
結果、左足のスパイクをスーッと伸ばして本塁を踏みにいった。岡村は捕球してからのタッチとなり、少し時間がかかったが、得意のブロックで小柄な土井を吹き飛ばした。
誰もがアウトと思った。三塁側阪急ベンチ、阪急ファンからも「やった。アウトだ!」と歓声が上がった。
しかし次の瞬間、主審の岡田功は両手を大きく広げた。
「セーフ!」
岡村は岡田に文句を言うより先に、胸倉をつかんでいた。すごい剣幕だ。岡田のアゴに、ミットでストレートパンチを叩き込んだ。
「退場!」のコール。監督の西本幸雄、コーチ陣が慌てて止めたが、岡村は制止を振り切ってさらにもう一発浴びせた。
3分後に再開となったが、これで試合の流れは一気に巨人に傾いた。扇の要・岡村の退場で宮本が動揺した。
巨人は2死から国松彰、末次民夫(現在は利光)、高田繁らのタイムリーと敵失にも乗じて、打者10人で大量6点を奪った。
岡村は試合後、興奮の冷めない表情でこう話した。
「ボクはブロックだけが取り柄みたいな男だ。自信がなければあんなことをしません。こちらはケガ覚悟でやっているのに、いきなり退場はひどすぎる」
もっとも、手を出した2発に関しては「やっぱり暴力だけはいかんですね」と反省もした。
一方の岡田は、興奮を抑えて反論した。
「岡村はブロックしたと言っているが、わずかな両足の間の空間に土井の足が素早く入るのを見届けて、自信を持ってセーフとした。岡村はベースの真上に構えていた」
岡村は高松商時代の58年、夏の甲子園に出場。立教大学を経て61年、阪急に入団した。正捕手として活躍し、この年はベストナインに選ばれている。
巨人は3年連続で阪急との対戦だった。68年は4勝2敗で勝ったが、それは岡村を徹底的にマークした結果だった。ヒットは6戦でわずか1本に抑えた。
ところが今シリーズは第3戦まで9打数4安打と打棒好調で、投手陣のリードも冴えていた。
岡村の退場で、慌てて若い中沢伸二がマスクをかぶった。だが、突然の出場にまごついていた。阪急は守勢に回ったのだ。
岡村の激高には伏線があった。退場劇の直前、長嶋が0-2後の真ん中高めの球に微妙なハーフスイングをし、これを岡田が「ボール」と判定していた。
退場はその判定に監督の西本、宮本と岡村のバッテリーが激しく抗議した矢先だった。
当時、巨人と対戦する時は「10人目の敵がいる」と言われた。巨人びいきの判定が多い。球界にはこんな疑惑が広がっていた。岡田はセ・リーグの審判である。阪急は冷静でいられなかった。
しかし、翌日の一般紙、スポーツ紙を見てみんながビックリ仰天した。
土井の左足が岡村のブロックを巧みにかわしてベースに届いている写真が、1面にでかでかと掲載されたのだ。
土井の「岡村は両足でベースをまたいでいたが、その間から左足で本塁の真ん中を踏んだ。ベースのラバーを踏んだ感触があった」という言葉が証明された。
神の左足─。
試合後、岡田は「痛い」と怒っていたが、一夜にして評価は急騰した。
王手をかけた巨人は第5戦(後楽園)を3対5で落としたものの、11月2日、西宮球場での第6戦を9対3で快勝し、V5を達成した。
当時のコミッショナー・宮沢俊義は退場劇を受けて、ビデオテープによる判定には「それを参考にするようなことは、今後の問題ですよ」と語っている。
日本球界がビデオ判定を導入したのは41年後の2010年からで、それも当初は本塁打の判定だけだった。
現在の「リクエスト制度」が導入されたのは、その8年後となる18年からだ。
岡田は13年後の82年にまたもや暴行劇の主役となった。
8月31日、横浜スタジアムでの大洋(現DeNA)対阪神戦で、主審を務めた際に起こった。
阪神・藤田平の飛球がフェアかファウルかの判定を巡って、阪神の柴田猛、島野育夫の両コーチから殴る蹴るの暴行を受けて全治2週間のケガを負った。
ミットでアゴを2度どつかれるどころの痛みではなかった。
(敬称略)
猪狩雷太(いかり・らいた)スポーツライター。スポーツ紙のプロ野球担当記者、デスクなどを通して約40年、取材と執筆に携わる。野球界の裏側を描いた著書あり。
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