芸能
Posted on 2025年11月16日 10:00

ホントーク〈肥後克広×魚住りえ〉(1)所ジョージの助言が芸人人生を変えた

2025年11月16日 10:00

頼る力
肥後克広/990円・小学館新書

 結成40年を迎えたダチョウ倶楽部のリーダー・肥後克広がこの夏、著書「頼る力」を発売。リアクション芸の誕生秘話から、時代によって変化するお笑い芸人の立ち位置まで、元局アナの魚住りえと熱く語り合った―。

魚住 私が日本テレビの局アナの時、メイク室でご挨拶させていただくことはありましたけれども、こうして対談ができることは本当にうれしいです。

肥後 こちらこそ、よろしくお願いします。

魚住 芸人さんは「誰よりも自分が前に出ていく」イメージが強かったので、この本のタイトルはちょっと意外でした。まず「頼る力」について教えていただけますか。

肥後 昭和の時代は、芸人の世界は目立ったもん勝ちで、どれだけ爪痕を残せるかを競っていましたけど、令和の時代に過激な発言や行動は完全にアウト。僕みたいな昭和のおじさんは自我を出さず、周りに頼って、炎上せずに生きていく力が必要だと思っているんです。

魚住 時代に応じてアップデートが必要ということですね。本書には、志村けんさんや笑福亭鶴瓶さん、有吉弘行さんなど、これまで肥後さんが頼られてきたという先輩や後輩芸人の方々のエピソードがたくさん出てきます。

肥後 ただ、僕のほうから「今、悩んでいます」って相談したことはないんですよ。先輩方との雑談の中にヒントがあって、自分に合うものを取り入れていくという感じです。

魚住 所ジョージさんとのエピソードもおもしろかったです。

肥後 ダチョウ倶楽部の人気が出てきた頃、所さんから「最近売れてきたけど、どう?」って聞かれたんです。それで「イベントで僕らが出て行くと、最初はみんな盛り上がってくれるんですけど、ネタに入ると、どんどん尻すぼみになっていくんですよね」って答えたら、所さんが「そりゃ、そうだよ。ダチョウ倶楽部のネタを見たい人なんか1人もいないよ。3人で楽しく遊んでいるような姿を見たいだけなんだから」って言われました。

魚住 私も所さんとは「所さんの目がテン!」(日本テレビ系)という番組で約7年間、ご一緒させていただきましたけど、すごく勘がいい方ですよね。

肥後 そう思います。なのでそれからネタではなく、遊びというか、フリートークというか、そっちにシフトチェンジしていったら、ウケ始めたんですよ。だからある意味、僕らの芸の方向性が定まった言葉でしたね。

魚住 ダチョウ倶楽部といえば“リアクション芸”が代名詞ですけど、ビートたけしさんからもアドバイスをいただいたそうですね。

肥後 「“フリ”をしてくれる人に感謝しなよ」って言われました。「スーパーJOCKEY」(日テレ系)の「熱湯コマーシャル」のコーナーでは、最初に入った人がジッと我慢をしていると、お風呂の熱さが視聴者に伝わらなくて、おもしろくなくなってしまいます。つまり、最初に熱い“フリ”があるからこそ、最後の大爆笑につながる。「笑いが助け合いであることをわかれよ」というのが、たけしさんの真意だと思います。

魚住 そんな舞台裏があったんですね。

肥後 リアクション芸は「頼ってこそ花開く」ということを、たけしさんが教えてくれました。

ゲスト:肥後克広(ひご・かつひろ)1963年、沖縄県生まれ。85年にお笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」を結成。テレビ番組「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!」(日本テレビ系)出演を機に一躍人気者に。93年に新語・流行語大賞の大衆部門で銀賞を受賞した「聞いてないよォ」をはじめ、さまざまなギャグやパフォーマンスで人気を確立。役者としても活躍中。

聞き手:魚住りえ(うおずみ・りえ)大阪府生まれ、広島県育ち。慶応義塾大学文学部卒。1995年、日本テレビにアナウンサーとして入社。報道、バラエティー、情報番組などで幅広く活躍。04年に独立し、フリーアナウンサーとして芸能活動をスタート。30年にわたるアナウンスメント技術を生かした「魚住式スピーチメソッド」を確立し、現在はボイス・スピーチデザイナーとしても活躍中。

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