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記事全文を読む→ホントーク〈泉房穂×名越健郎〉(2)ムダな事業削減で10億の予算を捻出
名越 泉さんは明石市長時代(11年~23年)、市政の改革が全国的に注目されました。改革の結果、明石市の人口も増えたと聞きます。どんな政策を実行されたのですか。
泉 最も力を入れたのが子育て支援です。医療費は高校卒業まで無料ですし、給食費、おむつ代も市が負担する。保育料も2人目以降は完全無料。貧困のために晩ご飯が食べられない子どもがいれば、自宅にご飯を届けます。こうしたことを見て“明石市は本気だ”と気づいた人たちが周辺から引っ越してきたんです。
名越 それだけの支援を充実させるには、多額の予算が必要になります。人口増で多少税収が増えたにしても、大変ではありませんでしたか。
泉 明石市の年間予算は2000億円。私が市長になるまでは、そのうち子ども関連が125億円でした。これは全国的に見て平均的な額なんですけど、いろいろやり繰りをして297億円に増やしました。
名越 それはすごい。予算配分の見直しには抵抗もあったでしょう。
泉 市長になった1年目から、予算支出のあり方を大きく変えました。たとえば、市営住宅の新規着工を止めて空き家活用へと方針を転換。一気に変えたので、議会や市役所職員、関連業界の人たちの理解を得るのは簡単ではありませんでしたが、時間をかけて説得を試みるのと同時に、市全体の経済を回してみんなが笑顔になれる状況をつくりだしていくことに注力しました。市民目線の政治を約束した者として、当然のことをしたまでです。既得権益と闘ってでも市民のための政治をするという覚悟さえあれば、10億円以上のお金を作り出すことは可能です。
名越 泉さんの庶民目線の政治は、恩師である民主党の衆議院議員、石井紘基氏の影響が大きいと本にも書かれていますが、彼は02年に道半ばで悲劇的な最期を迎えます。
泉 石井さんは、弱者救済と不正を許さないことが信条でした。中でも特別会計の闇や特殊法人への不透明な資金の流れにメスを入れようとしていました。その過程で大きな真実を発見し、その資料を元に国会質問を提出しようとして、家を出た直後に何者かに刺殺されました。
名越 口封じではないか、とも言われましたね。
泉 持っていたカバンに資料は残っておらず、現金が手付かずだったことを考えると、可能性はあるでしょうね。後に犯人が取材に対して「数千万円の謝礼をもらって殺したが、依頼者は言えない」と語っています。
名越 あの事件以降、特別会計などの追及を誰もやらなくなったそうですね。
泉 だから今でも税金のムダ遣いが続いているんです。
名越 石井氏の後を引き継がないのですか。
泉 石井さんが遺した膨大な資料を隅々まで調べましたけど、解明の糸口すらつかむことができませんでした。でも、諦めているわけではありません。そのためにも権力を握ることが重要です。そうすれば、国の不明瞭なお金の流れに光を当てることもできるはずです。
ゲスト:泉房穂(いずみ・ふさほ)1963年、兵庫県明石市生まれ。東京大学教育学部卒業後、NHK、テレビ朝日でディレクターを務めた後、石井紘基氏の秘書を経て、97年に弁護士資格を取得。03年に民主党から出馬し衆議院議員に。11年5月から23年4月まで明石市長を3期12年務め、子ども施策のほか、高齢者・障がい者福祉に尽力。25年7月、参議院議員選挙に当選。
聞き手:名越健郎(なごし・けんろう)拓殖大学特任教授。1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社。モスクワ支局長、ワシントン支局長、外信部長などを経て退職。拓殖大学海外事情研究所教授を経て現職。ロシアに精通し、ロシア政治ウオッチャーとして活躍する。著書に「秘密資金の戦後政党史」(新潮選書)、「独裁者プーチン」(文春新書)など。
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