政治
Posted on 2025年11月02日 10:00

ホントーク〈泉房穂×名越健郎〉(1)選挙は庶民が勝つための制度

2025年11月02日 10:00

勝ちにいく覚悟
泉房穂/1100円・講談社+α新書

 政治への熱い思いを抱き、明石市長として「子育て支援」をはじめとする市民目線の改革で全国の注目を集めた泉房穂氏。参議院議員となった今、国民の幸せや停滞が続く日本経済を救うには「政治家の覚悟と決断が必要だ」と言う。

名越 参議院議員選挙での当選おめでとうございます。

泉 ありがとうございます。

名越 本書はインパクトのあるタイトルです。冒頭の「選挙は美しい!」という言葉も新鮮でした。泉さんは選挙が大好きだそうですね。

泉 世の中、理不尽なことだらけですけど、選挙だけはお金持ちもそうでない人も一人一票。こんなすばらしい制度はありません。お金持ちより庶民の方のほうが多いのだから、“選挙は庶民が勝つための制度”と言ってもいい。地方議員や衆院議員は25歳(知事や参院議員は30歳)になれば出馬できると知った時は感動しました。

名越 事実、これまで出馬された選挙は、ほぼ当選されてこられました。また、立川市長選で泉さんが支援した無所属の新人が自民党推薦候補に勝利したように、各地の地方選でも泉さんがサポートされた候補者が続々と当選しています。

泉 ただ、私一人が応援できる人数には限界があります。そこで、私の政治の考え方や選挙のやり方を一人でも多くの方に知ってほしくて本書を執筆しました。

名越 勝つといえば、自民党総裁選で高市早苗氏が勝利しました。首班指名選挙で首相に選出されれば、日本の歴史で女性の最高指導者は、卑弥呼や北条政子以来じゃないでしょうか(高市氏は10月21日に首相に就任)。

泉 歴史は詳しくありませんけど、女性が自民党総裁になったことは大きな出来事です。しかも予定調和ではなく、大逆転勝利。改めて選挙はドラマだなと感じました。

名越 麻生太郎氏を副総裁に指名したことで、メディアでは“第2次麻生政権”と揶揄する意見もあります。政権運営はうまくいきますか。

泉 大変でしょうね。麻生氏の後ろ盾のあるなしにかかわらず、衆参ともに与党は過半数割れですし、つい先日、公明党が自公連立政権から離脱してしまった。しばらく政治の不安定は続くでしょう。でも、政治を変えたい私としては、今後の選択肢が広がってきた状況だと前向きにとらえています。

名越 先の参院選でも、比例票は参政党が立憲民主を上回り、保守党が日本共産党を上回るなど、地殻変動が起きています。実際に選挙を戦ってみて、どう感じられましたか。

泉 一言でいうと国民は怒っています。物価高で生活が大変なのに、政治はまったく動かない。「どうなっているんだ。いい加減にしろ!」といった有権者の声が伝わってきました。

名越 それは既成政党すべてに対する怒りですね。

泉 そう思います。私の支持者に話を聞くと、選挙区は泉さんに入れたけど、比例は参政党と書いた人が結構いたらしい。「現状を大きく変えなければいけない」という参政党の主張は、私と重なったのでしょう。

ゲスト:泉房穂(いずみ・ふさほ)1963年、兵庫県明石市生まれ。東京大学教育学部卒業後、NHK、テレビ朝日でディレクターを務めた後、石井紘基氏の秘書を経て、97年に弁護士資格を取得。03年に民主党から出馬し衆議院議員に。11年5月から23年4月まで明石市長を3期12年務め、子ども施策のほか、高齢者・障がい者福祉に尽力。25年7月、参議院議員選挙に当選。

聞き手:名越健郎(なごし・けんろう)拓殖大学特任教授。1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社。モスクワ支局長、ワシントン支局長、外信部長などを経て退職。拓殖大学海外事情研究所教授を経て現職。ロシアに精通し、ロシア政治ウオッチャーとして活躍する。著書に「秘密資金の戦後政党史」(新潮選書)、「独裁者プーチン」(文春新書)など。

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