社会
Posted on 2025年10月05日 10:01

ホントーク〈近藤大介×名越健郎〉(2)中国人留学生は裕福でスマート

2025年10月05日 10:01

名越 近藤さんは講談社で部下が全員中国人という、北京の副社長を経験され、これまでに中国関連の著書を37冊も執筆されています。本書は中国人の思考や行動原理が非常にわかりやすく書かれていて、とてもおもしろかったです。

近藤 ありがとうございます。日本人はまだ中国人のことをよく知らない人が多く、誤解もある。それで相互不信に陥っているように感じています。孫子の兵法に「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とあるように、もっと中国をきちんと知るべきだと思って書きました。

名越 島国の日本と大陸の中国では、考え方が異なりますが、中国人は死後の世界にまったく興味がないことに驚きました。

近藤 中国人(漢民族)は現世主義ですから。

名越 ところで今「潤日(ルンリィー)」と呼ばれていますが、中国の富裕層や、アッパーミドルクラスが日本に移住してきています。なぜ彼らはやって来るのですか。

近藤 中国の景気が悪いのと、政治的締めつけが強いことにあります。教育の競争が激烈なので留学生も増えています。

名越 僕が教えている拓殖大学でも優秀な学生が増えています。15年前の中国人留学生はまだ貧しく、食事に誘っても、「これから朝までバイトです」と断るハングリーな学生が多かった。今の留学生は1人っ子政策のためか、裕福でスマートです。車やマンションを持っている学生もいて、バイトは社会勉強でやるようです。

近藤 私も明治大学で授業を担当していますけど優秀な学生が多いですね。親は公務員やIT企業、国有企業に勤めているエリートなど。彼らは就職も日本でしたいと言っています。

名越 中国には戻らないんですか。

近藤 中国では就職が厳しいですからね。この7月に1222万人が大学・大学院を卒業しましたが、多くはまともに就職できていないんです。コンビニのバイトか宅配便の配達員で糊口を凌ぐ若者も少なくない。

名越 今、日本はAIやEV分野などで中国に抜かれています。一方で中国の不動産不況は深刻で、就職難です。中国経済の実態を教えてください。

近藤 非常に悪いと思います。2年前に習近平国家主席は「総体国家安全観」という、国家安全保障の強化を掲げて、言ってみれば中国を北朝鮮みたいな国にしようとしました。でも経済が悪化して、1年で挫折してしまいました。

名越 ある中国人のエコノミストは「習近平国家主席が辞めたら、株価はすぐ上がる」と言っていましたが─。

近藤 10年前の大暴落は習近平主席の誕生日(6月15日)からでしたし、“習近平暴落”というのが過去に何度も起こっています。最近、市場経済を盛り上げたいという李強首相を中心とした経済テクノクラート(技術官僚)が力をつけているので、いい方向に向かっています。

名越 李強首相が後継者になるかもしれないですか。

近藤 でも自分より優秀なので、習近平国家主席は嫌かもしれませんよ(笑)。

ゲスト:近藤大介(こんどう・だいすけ)1965年生まれ。埼玉県立浦和高校、東京大学卒。国際情報学修士。講談社入社。講談社北京副社長を経て、講談社「現代ビジネス」編集次長。08年より明治大学国際日本学部講師(東アジア国際関係論)を兼任。19年「ファーウェイと米中5G戦争」で国際アジア共同体学会岡倉天心記念賞最優秀賞を受賞。

聞き手:名越健郎(なごし・けんろう)拓殖大学特任教授。1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社。モスクワ支局長、ワシントン支局長、外信部長などを経て退職。拓殖大学海外事情研究所教授を経て現職。ロシアに精通し、ロシア政治ウオッチャーとして活躍する。著書に「秘密資金の戦後政党史」(新潮選書)など。

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