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記事全文を読む→千葉県北西部「赤塗りマップ」で示された「車で近づいてはいけない地域」大騒動に県知事が参戦した「解決困難な問題」
濃い赤で塗りつぶされた千葉県北西部の地図が、Xで猛烈に拡散されている。添えられたひと言が強烈だ。
〈用がないなら決して車で近づいてはならない〉
一見、特定地域をバカにする投稿に見える。普通なら名指しされた住民が怒り出すところだ。ところが地元民は怒るどころか「ガチでそうだ」と次々に同意した。
赤く塗られたのは市川・松戸・柏・八千代・船橋をぐるりと囲む一帯。東京に隣接し、人口びっしりの地域である。集まる声は生々しい。
〈ここら辺は自転車で移動した方が早い〉
〈結界が張り巡らされているレベルで車では身動きが取れない〉
〈市川は車で行ってはいけない〉
これはすなわち、このあたりの道路事情を指す。バスがすれ違えない細さの道が幹線扱いされ、両端から電柱がせり出す。これで主要道路なのだという。
赤塗り地域で引っ越しを重ねたという人は、わずか6キロ先に向かうのに、車で1時間以上かかると嘆く。休日はさらにひどい。船橋の「IKEA」や「ららぽーと」へ買い物に出かけるだけで、往復に数時間が費やされる。
子供への影響も深刻だ。ある住民は、地元の小学校が給食を自校式で続ける理由を「センター方式だと時間通りに届けられないから」と説明されたと明かした。渋滞が子供の給食の作り方まで決めている。日本最悪レベルとまで揶揄される始末だ。こうなると、話は一地域の自虐では収まらなくなる。
ではなぜ、ここまで放置されてきたのか。矛先は次第に県の道路行政へと向けられる。そこへ思わぬ人物が現れた。千葉県の熊谷俊人知事である。ネットの愚痴に、ついに行政トップが参戦したのだ。
熊谷知事は、県北西部の道路整備は県政の最優先課題のひとつだと、まず正面から認めた。その上で、すでに家が密集した市街地で道路を広げるのは容易でなく、県だけで解決できる話ではないと釘を刺している。
千葉県は東京や神奈川、埼玉と比べ、人口に対して面積が広い。つまり、整備すべき道路の総延長そのものが長い。さらに東京寄りのエリアには政令市がないため、主要道路の整備を県が背負うことになる。広い県土と、こうした行政の構造が、そもそも足かせになっていたのだ。
委員会会長の襲撃事件まで起きた
最も根深いのは、成田闘争の後遺症だ。空港建設をめぐる激しい対立の余波で、千葉県の収用委員会は長らく機能不全に陥った。過去には委員会の会長が襲撃される事件まで起きている。
本来なら土地収用という強い手段で用地を確保できたはずが、その切り札を県は長く使えずにいた。密集市街地、人口増、道路不足、用地取得の難しさ。そこへ収用の停滞が重なる。渋滞はひとつの原因では説明できない、複合的な産物なのだ。
県は北千葉道路の延伸や、湾岸の混雑を分散させる新湾岸道路の具体化を進める方針を示している。街道の拡幅と右折レーン増設、第二湾岸の早期着工。そして国道14号、京葉道路、総武線に阻まれて南北に抜けにくい街を貫く陸橋やトンネルの新設。船橋港をまたぐ橋が一本通れば、湾岸ルートの渋滞は緩和される。
赤い塗り分けは、ただの渋滞マップではない。千葉県民が何十年も抱えてきた、道路行政の古傷そのものなのである。
(ケン高田)
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