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記事全文を読む→テレビの「猫の番組作り」にモノ申す!「天皇家の猫⇒最強の保護猫譲渡会」で流した「オモシロ映像」の軽々しい意図
天皇家が8月から飼っている生後4カ月半の三毛の保護猫「美海(みみ)」ちゃんを取り上げたのは、「大下容子ワイド!スクランブル!」(テレビ朝日系)だった。
ところが番組では「美海」ちゃんは単なる「前振り」だったようで、そこからは保護猫へと話題を変え、人に懐かず怒ってシャーシャーする猫(人を怖がるビビリ猫も同じような猫だろう)の問題に。そのテーマがシャーシャー猫の「最強の保護猫譲渡会」となると、面白おかしく保護猫を取り上げたい、という意図にしか思えなかった。
番組ではシャーシャー猫の映像を2連発、3連発で映し出した。猫を飼っているというコメンテーターが「ウチの猫もそうだったが、人に懐くようになった」みたいなコメントを出す。要するに、シャーシャー猫でも飼っているうちに性格が変わり、人に懐くかわいい猫になる、と言いたかったのだろう。
この番組作りが乱暴でいいかげんなものだと思ったのは、我が家で飼っている3匹の保護猫の様子をよく知っているからだ。知人の家の猫にしても、いずれ懐いて抱っこできるようになるだろうと思い続けて飼っているが、近づくと相変わらず逃げ回り、時にシャーと怒るのだという。
シャーシャー猫はそう簡単に、従順にはならない。我が家の白ブチ猫を引き取った時には「1、2年もすると懐くようになる」と言われた。ところが、現実は違った。
熱海の保護猫団体からもらったのが6年前のこと。当時、生後数カ月で、保護スペースの天井に、警戒心マックスで隠れるようにしていた猫だった。どうにか降りてこさせ、自宅に連れてきたのだが、家に入る頃には疲れ果てたのか大人しくなって、一度だけ抱っこすることができた。その時に撮った、たった1枚のショットがこれ(写真)だ。
以降は近づくとそそくさと逃げるし、ご飯を食べに出てこない時に探し出して口元に置こうとすると、シャーを一発、見舞われる。さらにしつこくすると、もう一発。仕方がないので、ご飯を近くにそっと置いて退散するしかないのが日常である。
それでもお腹がすくとすり寄って来て「ミー」と小さなかわいい声で鳴いてショネショネする。「お腹がすいてるんだろう」と気安く近づくと逆に身構え、近づきすぎようものなら一目散に逃げていく。まったく扱いに困るのだ。
それでも、時に妙に懐いている素振りを見せる瞬間がある。その姿を見てむしろ不憫になり、可哀想にもなる。そんな微妙な距離感のまま6年。それでも可愛いのだ。
心配なのは、病気かもしれない時だ。猫は痛いとも痒いとも言わない動物で、どこか体が悪く痛くても、人間には弱みを見せないという。それでも体に触ることができれば悪いところを見つけてあげることができるが、人に懐かず抱っこもできない猫はそれがかなわず、人に懐く猫よりも寿命が短い、というのが通説である。
しかし、あの「ワイド!スクランブル」はシャーシャーの面白い映像がメインだろうから、もちろんそうした深い視点など感じられなかった。興味本位の番組作りはさすがにオールドメディアといったところだろうか。
できれば「美海」ちゃんのことを、もっと詳しく知りたかった。おそらくこのテレビマンには、猫への愛情など全くないのだろう。
(峯田淳/コラムニスト)
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