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記事全文を読む→前駐豪大使・山上信吾が日本外交の舞台裏を抉る!~これが偽らざるホンネだ!世界は日本の「非核三原則」をどう思っているか~
高市首相官邸関係者が核保有を主張したとして、またしても「モグラ叩き」が横行している。自衛隊出身で防衛大臣まで務めた政治家が先頭に立って非難している図式を見るにつけ、10年一日の如く同じ議論を繰り返している日本の有様に、辟易せざるをえない。
「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則堅持論は、国際社会の現実論者にどう見えるか。長年の外交官経験を踏まえ、整理して提示したい。
第一に「実態はそうではない」と、多くの識者は見ている。1974年のラロック退役少将や1981年のライシャワー元駐日大使の発言は、米国の核搭載艦船が日本に一時寄港する際にわざわざ核を降ろすことはしない、ということを裏付けてきた。
また、1960年の安保改定や1972年の沖縄返還において、有事の際には核の日本への持ち込みを日本政府が認めているという、いわゆる「密約」の存在が日本国内で大きく取り沙汰されてきたことを、世界は知っている。
第二は、日米両政府が唱える「拡大抑止」との不整合だ。アメリカの核の傘によって日本が守られているなら、少なくとも有事の際に日本への核の持ち込みを認めずして、どうして「抑止」が担保されるのか。
そもそも東京を守るために、米国がニューヨークやロスアンジェルスが核攻撃にさらされる危険を冒してまで、核兵器を使用するのか。この根源的問題は、つとに指摘されてきた。
第三は、核が持つ戦争抑止効果への無理解。多くの日本人には目から鱗の議論だが、大日本帝国が核兵器を持っていれば、トルーマンのアメリカが広島、長崎に原爆を落とすことはなかっただろうと喝破する戦略家が、世界にはいる。核を手放し、ブダペスト覚書で自国の安全保障をロシア、アメリカ、イギリスに委ねたウクライナがそのロシアに侵略されたのは、現在進行形の教訓だ。
翻って、いったん核を手にした北朝鮮の金正恩が決して手放すことはない、というのが国際社会の相場観である。
第四は、そんな日本がNPT(核兵器拡散防止条約)体制護持を叫ぶ奇矯だ。NPT体制とは、国連安全保障理事会の常任理事国である米、露、中、英、仏の5大国だけが核兵器を保有することが許されるとする、第二次大戦後の国際秩序固定化の差別的枠組みでもある。
しかるにその体制はインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮といった、本来であれば核兵器保有を禁じられている立場の国々の核保有を止められなかった。
そんな事態の展開を受けても「NPT体制護持」を先頭に立って主張し続ける日本。世界の現実主義者の目に、お人好しを通り越した奇矯な存在と映るのは必至だ。
第五は、非核三原則の堅持こそが日本の外交力を維持する、と信じているナイーブな思い込みに対する驚きである。核廃絶を究極の目標として掲げるのは結構だ。だが、大国間の現在の平和が核によって保たれているのは、国際政治の否定しがたい現実といえる。
一方で、NPT体制に抗って核を持つに至ったインドやイスラエルが国際社会で袋叩きに遭い、自国の外交力を損なってきたとみている国際政治学者など、寡聞にして知らない。
最後に、戦略環境の激変に対する認識の欠如だ。今や日本は中国、ロシア、北朝鮮という核兵器を保有する三つもの国に取り囲まれている。いずれも日本に対する敵意を口外して憚らない。こんな厳しい戦略環境に置かれた国は、世界に例がない。しかも中国の外交官は「日本の民衆は火の中に連れ込まれる」「(高市総理の)汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と公の場で口にする始末だ。これこそ核兵器国による、非核兵器国に対するあからさまな恫喝ではないか。何故、反核論者は声を上げないのか。それとも、恫喝される日本であっていいと受け止めているのか。
被爆の実相を、声を大にして伝えていくのは当然だ。各国の指導者を広島の平和記念公園や長崎の慰霊碑に連れて行き、原爆投下がもたらした悲惨な状況を知らしめ、投下する立場にある者に過去の過ちを繰り返させない努力は大切だ。同時に核の抑止力が大戦争の勃発を防いできた歴史的事実に、目を閉ざしてはなるまい。
戦後80年。非核三原則をめぐる議論は「見ざる、聞かざる、言わざる」から脱却しなければならない。
●プロフィール
やまがみ・しんご 前駐オーストラリア特命全権大使。1961年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、84年に外務省入省。コロンビア大学大学院留学を経て、ワシントン、香港、ジュネーブで在勤。北米二課長、条約課長の後、2007年に茨城県警本部警務部長を経て、09年に在英国日本国大使館政務担当公使、日本国際問題研究所所長代行、17年に国際情報統括官、経済局長を歴任。20年に駐豪大使に就任し、23年末に退官。同志社大学特別客員教授等を務めつつ、外交評論家として活動中。著書に「中国『戦狼外交』と闘う」「日本外交の劣化:再生への道」(いずれも文藝春秋社)、「国家衰退を招いた日本外交の闇」(徳間書店)、「媚中 その驚愕の『真実』」(ワック)、「官民軍インテリジェンス」(ワニブックス)、「拝米という病」(ワック)などがある。
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