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記事全文を読む→「なんで育成なのかわかんないレベル」捕手が驚愕するソフトバンク育成投手アルメンタを生んだ「徹底個別指導・AI解析、リハビリ環境」
「軽く投げて155キロ出る」
「化け物すぎる」
この春季キャンプでまさにそんな表現がピッタリだったのは、ソフトバンクの育成投手アレクサンダー・アルメンタの投球だ。野手も含めた育成選手でただひとりA組スタートを勝ち取った21歳の左腕が、ソフトバンクの「育成工場」から飛び出そうとしている。
メキシコ出身のアルメンタが来日したのは17歳の時だった。力感のないフォームから快速球を投げ込むスタイルで、昨年7月の2軍戦では自己最速156.8キロをマーク。8月の3軍戦では155キロを連発しながら5回2安打無失点の快投を見せ、年を追うごとに直球の威力が増している。ファームを統括する川越英隆コーディネーターは「支配下にかなり近い位置にいるのは間違いない」と太鼓判を押す。
今春のキャンプでは2月23日の侍ジャパン壮行試合に登板して、2回1安打無失点、3奪三振。3月のWBCでメキシコ代表として国際舞台に立ち、その後の支配下昇格を現実のものにしようとしている。
アルメンタだけではない。育成3年目の藤原大翔は侍ジャパン戦にオール直球で挑み、最速156キロを計測。長水啓眞も今季のブレイクが見込まれており、ソフトバンクの投手陣は「相当、打ちづらくなる」と対戦球団から警戒されている。千賀滉大、甲斐拓也、周東佑京、大関友久ら、これまで育成から輩出した主力級は枚挙にいとまがない。
ソフトバンクには他球団を圧倒する育成システムがある。現在の育成選手数は54名で、12球団最多規模。育成⇒支配下の昇格率は過去10年で約20%(80人指名中17人が支配下登録)とされており、これは他球団を大きく上回る数字だ。その実績を支えるのはデータ班による徹底的な個別指導、AI解析、充実したリハビリ環境だ。
2軍本拠地を福岡県筑後市に置く構造も、選手の意識に影響を与えているとされる。「1軍に上がらないと都会に出られない」という環境が向上心を刺激するという指摘があるからだ。巨人のように2軍でも東京近郊でプレーできる環境とは、緊張感がまるで違うのだろう。
こうした育成モデルに近いのが、MLBのロサンゼルス・ドジャースだ。マイナーリーグの施設に惜しみなく投資し、突出した年俸総額への批判を受けながらも、ファームから次々と新戦力を供給し続ける。サラリーキャップ制(年俸総額の上限を設定)を求める声はあるが、差を生んでいるのはカネの多寡だけではない。
ソフトバンクとドジャースに共通するのは「下で育てた選手が1軍に出てくる」という再現性のある成功モデルを持っていることであり、それを支える施設と仕組みへの投資システムだ。
セ・リーグでは巨人が育成に力を入れているが、ファームから定期的に主力が出てくる状況にはなっていない。ドラフト1位指名選手を優遇するあまり、育成選手へのきめ細かなアプローチが後手に回る、という声は根強い。ソフトバンクがドラフト1位にはあえて手を加えず、育成選手にこそデータ班を総動員する「逆転の発想」で結果を出してきたのとは対照的だ。
アルメンタが今春のマウンドで放つ1球1球は、そんなソフトバンクの育成哲学が結実したものだ。捕手の渡邉陸が「なんで育成なのかわかんないレベル」と証言するほどの実力を持つ21歳が、WBCを経てどこまで駆け上がるか。「第二のモイネロ」の大ブレイクが楽しみだ。
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