社会

重大病が見つかるチェックリスト「口臭」(2)

20150409dd2nd

 そうならないためにも、今回のチェック項目(ページ下部)でしっかりとチェックしてほしいと思います。

「口臭」の原因は、ほとんど口の中にあると言っても過言ではありません。もちろん虫歯や歯周病も臭いの原因となりますから、【1】や【2】の人は、早急に歯医者へ行って、まずは虫歯や歯周病の治療から始めてください。

 ただ、虫歯や歯周病ではなくても、歯や舌の汚れなどをきれいにしておかないと、そこに細菌が増殖して、嫌な臭いを生じます。一般的な「口臭」の多くはこれが原因だと考えられています。【3】~【5】に当てはまる人は要注意です。

 【6】~【8】は、口臭がひどくなりやすい習慣です。当てはまる人は、すでに口臭がありながら、それに気がついていないだけかもしれませんし、もし今は大丈夫だとしても、これから年齢を重ねるごとにひどくなってゆく可能性があります。コーヒーやタバコは控えめにし、人と会う時にはニンニクなど臭いの強い食材を使った料理は避けたほうがいいでしょう。

 また、胃腸の調子が悪くて起こる口臭もあるので、【9】~【10】に当てはまる人もご用心。胃腸の不良が原因で起こる口臭は、口の中が原因の口臭よりも臭いがきつい傾向があります。そういう意味ではより重篤と言えますので、いざという時のために、日頃から胃腸の調子を整えておきたいものです。

 口臭は、唾液が少なくなると、口の中の細菌が急激に増えてひどくなります。朝起きた時に口臭がするのも、夜寝ている間に口の中が乾燥して、口中の細菌数が増えるからです。唾液をたくさん出すようにすることが、口臭予防にはとても重要となります。

 対策としては、ごく単純ではありますが、「歯を磨く」こと。今すぐにできる対策としてはやはりこれが一番で、短期間に口の中の汚れや細菌を少なくさせることができます。

 ちなみに、よく歯を磨く人と、ほとんど磨かない人とでは、細菌の数は10倍も違います。よく磨く人の口中の細菌の数が、1000億個程度と言われているのに対し、磨かない人は1兆個とされているのです。これを聞けば、【3】の人も今までよりよく歯を磨くようになりますよね。

 ただし、歯磨きは食後すぐにしてはいけません。食後30分たってからにしましょう。なぜなら、食後すぐの口の中は、酸性であることが多いので、歯の表面に傷がつきやすいからです。

 ですから30分後、唾液の作用によって酸性が中性に戻り、歯の表面が硬さを取り戻して(再石灰化といいます)から磨くのがベスト。どうしても時間がない場合は、せめて、うがいをしてから磨いてください。

 もう一つ、手軽にできる対策法としては、「ガムをかむ」があります。先ほど、唾液をたくさん出すようにすることが口臭予防には重要だと申し上げましたが、ガムをかむと自然に唾液がたくさん出るため、口臭予防に即効性が期待できるのです。最近ではキシリトール配合で、虫歯予防効果も期待できるガムが多種あって、気軽に購入できるので、それらを利用するといいでしょう。

 また、口の中が乾いた状態だと、口臭が強くなりやすいので、お茶や水などで水分補給をまめに行い、口の中が唾液などで潤いのある状態を意識的に作ることで、口臭を防ぐことができます。しかし、カフェインを含むコーヒーやお酒などは、利尿作用があるので、口臭を悪化させるおそれがあります。

 口臭を食べ物で抑える、という手もあります。口臭に効果が期待できる食べ物は、梅干し、レモン、レタス、パセリなど。梅干しやレモンは、唾液の分泌を促進し、クエン酸の成分が口の中の細菌が増えるのを抑えてくれます。レタスは、食物繊維が豊富なので、よくかまなければ飲み込めません。よくかむことで唾液の分泌を促し、口の中の乾燥を防ぎます。パセリにはクロロフィルという殺菌成分が含まれており、ピネンという臭いを消す作用のある成分も含まれているので、口臭予防には最適の食材であると言えます。

 ちなみに牛乳は、あまり効果が期待できないと言われています。ニンニクの臭い成分であるアリシンがタンパク質とくっつきやすいので、牛乳などの乳製品をとると臭いが消えるという考え方ですが、私はその効果はあまり望めないと考えています。

 最後に、私のおすすめの「パタカラ体操」をご紹介しましょう。「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音すると、唾液の分泌を促すと同時に、食べるために必要な筋肉のトレーニングになるのです。同時に唾液腺も刺激し、唾液の分泌も促すので、口臭予防に効果的です。

 お年寄りには、かむ力、飲み込む力を高めてくれ、発音がハッキリしたり、表情が豊かになるなどの効果が期待できます。食事前に行えば、誤嚥も避けることができます。皆さんもぜひ、やってみてください。

 人の出会いを大切にしたいなら、「口臭」にはくれぐれも気をつけましょう。

──口臭チェック項目──

【1】虫歯がある

【2】歯茎から出血することがある

【3】歯をあまり磨かない

【4】歯石が目立つ

【5】口の中がベタベタすることがよくある

【6】毎日、5杯以上コーヒーを飲む

【7】毎日、タバコを10本以上吸う

【8】ニンニクやニラを使った料理が好きでよく食べる

【9】いつも胃の調子が悪い

【10】時々、卵の腐ったような臭いのゲップが出る

※0~3個は経過観察、4~6個は医師に相談を。7個以上は医師の診察を受けてください

◆監修 森田豊(もりた・ゆたか) 医師・医療ジャーナリスト・医学博士。レギュラー番組「バイキング」(フジテレビ系)など多数。ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の医療監修も務めた。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<夏ウツ>日照時間の長さが睡眠不足と関係!?

    340060

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<めまい>ストレスや睡眠不足で耳鳴りや難聴も!?

    339610

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<胃の不調>寒暖差ストレスで自律神経の乱れ!?

    336213

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「イラン空爆」を目の当たりにした金正恩が恐怖におののくトランプの「地下シェルター爆死作戦」
2
中居正広が性暴力直後に被害女性に送っていた驚くべき「会いたいメール」と「拒絶返信」
3
サッカー日本代表・谷口彰悟「大河女優と結婚」でやっとわかった「奇怪な移籍」の理由
4
開始当初から激変した「ダウンタウンDX」最後はあまりに「浜田の愛なし」だった
5
阪神・近本光司「兄が淡路島で日本料理店」発信と今オフ「FA移籍市場」の深い関係