社会
Posted on 2026年04月03日 06:30

関西の春に異変!庶民の味「イカナゴくぎ煮」が高級品に変貌して代替品「シラスくぎ煮」の味わい賛否

2026年04月03日 06:30

関西の春に異変!庶民の味「イカナゴくぎ煮」が高級品に変貌して代替品「シラスくぎ煮」の味わい賛否


 関西の春の風物詩といえば、たけのこご飯や桜餅のほかに、各家庭で炊かれる「イカナゴのくぎ煮」を思い浮かべる人は多いだろう。甘辛い香りが街に漂い、各家庭ごとに微妙に異なる味わいがある。オカン同士が近所でお裾分けし合う、そんなやり取りを目にして「今年もこの季節が来たな」と実感したものだ。
 稚魚のうちに炊き上げるため、この時期にしか味わえない、まさに期間限定の美味しさといえる。

 ところが近年、その風景が失われつつある。原因は言うまでもなく、イカナゴの歴史的な不漁と価格の高騰だ。瀬戸内海では水温の上昇やプランクトン減少、さらには天敵の増加といった環境変化が重なり、イカナゴの資源は激減。稚魚の段階で大量に漁獲してきたことも影響して「獲れない、高い、続かない」という三重苦に陥っている。
 漁期がわずか数日で終わる年もあり、かつては庶民の味だったくぎ煮が、1キロ5000円から8000円ほどの「高級品」へと変貌してしまったのだ。

山椒や生姜を効かせて十分に「再現」は可能

 そんな状況下でじわじわと存在感を増しているのが「シラスのくぎ煮」である。スーパーで手に入りやすく、価格が比較的安定しているシラスは、イカナゴの代替として一気に普及。釜揚げや干しの状態で流通しているため、下処理の手間が少ないという利点がある。忙しい現代の家庭にはむしろ、好都合ともいえよう。

 では、味わいはどうか。イカナゴ特有のしっかりした食感やコクには及ばないものの、山椒や生姜を効かせれば、十分に「くぎ煮らしさ」を再現できる。むしろあっさりとした仕上がりを好む層には好評で、「これで十分」という声は少なくない。
 とはいえ、長年にわたり親しまれてきた伝統の味が変わることに、寂しさを感じる人は多いだろう。

 イカナゴの復活を願う声がある一方で、シラスくぎ煮が新たな定番として定着しつつあるのもまた事実。関西の食文化は今、静かに転換点を迎えている。

(カワノアユミ)

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