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記事全文を読む→原田龍二「誰がなんと言おうと霊はいる!」〈今週の龍言〉僕にとってのヒーローは里見浩太朗と水谷豊
今回はヒーローについてお話しします。今の時代に「あなたのヒーローは誰?」というアンケートを取ったら大谷翔平選手や井上尚弥選手が上位に入ってくるはずです。
最近はWBCやボクシングの世界戦などのビッグイベントが有料配信になっています。僕は2人にまるで興味がないわけじゃないけど、おカネを出してまで見るということはないですね。タダで見られる地上波で放送したとしても、それは変わりません。いただいた立派なテレビが我が家のリビングに鎮座していますが、僕はあまりテレビを見ないんです。家族の中でテレビを見るのは主にカミさん。カミさんは「徹子の部屋」のファン、というよりも徹子さんご本人が大好きなんですよ。
僕のヒーローは里見浩太朗さんと水谷豊さんです。例えば豊さんの場合、「相棒」で2人きりの空間でしゃべったりすることがあります。仕事が終わって、「お疲れさまでした。では失礼いたします」
と、その場所から離れますよね。帰りの車の中でふと、「俺、さっきまで水谷豊と一緒にいたんだな」
としみじみ感じるんです。いまだに。何度もご一緒してるんですけどね。
豊さんと仲よくさせてもらっているのは、すごく幸せなことです。もちろん里見さんや豊さんだけが僕の中でのスターではないですよ。たまにショーケンさんのライブを「やっべな」と思いながら見返したりします。そのショーケンさんと「傷だらけの天使」で共演していたことで、また豊さんという人間のすごさを感じるわけです。
画面に映る豊さんだけではなく、撮影現場での豊さんの素顔を知っていることも大きいです。ある時、2人でトイレ行って僕が先に用足して手を洗って待っていたら、豊さんが終わって洗面台で手を洗います。その時もいろいろとしゃべってるんだけど、僕としゃべりながらも手を拭く紙ナプキンでビシャビシャに濡れてる洗面台を拭くんですよ。次に使う人のために。そういう何気ない素の姿、よどみなく流れる行い。道を歩く時は常に端っこを歩くとか。僕に見せるためにやってるわけじゃないと思うんですよ。そういう素の豊さんに惚れてしまうんです。
里見さんの場合、豊さんとは少し時代も違うし、時代劇を主にやってきた方で、その時代劇に関する知識と経験の豊富さっていうのはトップオブトップだと思いますね。
まず慌てない。「駆けずの浩太朗」という異名をお持ちですが、里見さんはどんな状況になっても慌てないんです。それはご自身の性格だけではなくて、豊富な経験によって裏打ちされたものだと思うんですよ。
でも、ある共演者の方は「ひどいんだよね」とコボしていました。なぜなら舞台上で里見さんがセリフを忘れたり、道具を忘れたりしても共演者のせいになってしまう。里見さんがあまりにも堂々としてるから。
先日の里見さんとの対談で「原田くんはもっと自分でこの役をやりたいと言えばいい」と言われました。でも、僕は自分から言うのではなく「原田にこの役をやってもらいたい」と言われるようにならないとダメだと思うんですよ。もちろん里見さんの気持ちもわかります。「オレがオレが」ではない姿勢で30年やってきたので、そう言われても仕方がないですね。
俳優として里見さんや豊さんみたいになるというわけじゃなくて、心霊スポット巡りと温泉探訪を極めつつ、これからもお2人から栄養をもらい我が道を突き進もうと思ってます。
僕と同じ50代中盤から60代にかけた世代で、里見さんや豊さん主演のドラマを見てない人っていないんじゃないでしょうか。
もっと里見さんや豊さんの仕事の話、そして人生においての貴重な話を聞いておかなきゃいけない。特にお2人とも過去のことを鮮明に覚えてますからね。
でも実際に目の前にすると、根掘り葉掘り聞くというよりは、ファンとなって目の前の「水谷豊と里見浩太朗の空気を吸収する」ことに努めてしまうんです。
特に豊さんといる時は観察に徹しています。同じ出番の日は、豊さんよりも早く入り、衣装も着てスタンバイします。豊さんは、
「龍二、早いね」
と言うんですよ。そりゃそうです。僕は豊さんにそう言われたくて早く来てますからね。そこからどうするかというと、まず了解を取ります。
「見てていいですか?」
「いいよぉ」
豊さんがメイクしてる姿を僕は鏡越しに注視するんです。普通は見てていいかどうかなんて会話、役者同士では絶対にしないですよ。幸い豊さんは僕に見られることを楽しんでいる。それが最高に心地いいんですよ。
だって「素の水谷豊」を一瞬たりとも見逃したくないじゃないですか。豊さんのファンの方は大勢いると思いますけど、ずっと横で見てていい席って憧れるでしょうね。それは一緒に食事をして豊さんを独り占めするということではないんです。それはおこがましくて、横にいさせてくれたらそれだけでいいんです。本当に「もう十分だ」と思うぐらいにガッツリそばにいて見ていますけどね。
制作の方たちは、
「龍さん、豊さん任せていいですか?」
と、声をかけてきます。“相棒”である寺脇康文さんが来る前に豊さんを僕が独占しちゃうわけですよ。
寺脇さんも「人間・水谷豊」に魅了された1人で「俺の水谷豊」という感覚はあると思いますね。僕はそこに対抗意識を持ちます。イス取りゲームじゃないけど、豊さんを巡る見えない攻防です。とはいえ寺脇さんは僕を可愛がってくれますし、 “豊番”を譲ってくれているフシがある。言葉にはしませんが、「龍二、今日は豊さんを独り占めしていいよ」という感じは伝わってきます。その証拠に僕が豊さんと2人きりでいる時は、気を遣ってあんまり近くに寄ってこないですもん。
それは僕が「相棒」の現場にしょっちゅう来るわけじゃないから、なのかもしれませんけどね。
原田龍二(はらだ・りゅうじ)1970年生まれ。東京都出身。92年ドラマ「キライじゃないぜ」で俳優デビュー。「水戸黄門」「相棒」シリーズなど出演多数。温泉バラエティ「湯一無二」(MX)のほかユーチューブ「ニンゲンTV」ではゴーストハンターとしても活躍中
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