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記事全文を読む→毒蝮三太夫“人生90歳からだろ”「卒寿のマムシ酒」〈追悼!!美輪明宏②不思議な縁があった〉
今年の6月20日、91歳で亡くなった美輪明宏さん。一人また一人、同級生があっちに行っちまう。この年になると寂しいもんだよ。
近頃しみじみ思うんだが80歳になった頃は、米寿(88歳) になっても元気な自分が想像できたんだよ。ところがどうだい。最近じゃ白寿(99歳) の自分が一体全体どうなってるんだか、皆目見当がつかねぇよ。まあそれだけ90の坂は急坂だって話よ。
おっといけねぇ、話が湿っぽくなっちまったな。今回は、美輪さんと俺の不思議な縁について話すんだったっけ。美輪さんは、昭和45年から26年間「ズバリ快答!テレフォン身の上相談」(TBSラジオ)を担当していた。だから「ミュージックプレゼント」をやっていた俺とは、TBSで出くわすことがよくあった。いつもフレンドリーでねぇ。玄関でバッタリなんて時も、「蝮さん」と気さくに声をかけてくれた。
「こないだイタリーに行ったら、税関で女だろうって疑われてね」
あんまりしつこく噓つき呼ばわりするもんだから、そいつの手を取って、「私の胸を触らせてやったら、やっと男だってわかったらしく、税関を通してくれた」なんてぶっちゃけ話を平気でしてくるんだ。「なんて人懐っこい人だ」って思ったよ。
新幹線の中でバッタリなんてことも。真っ赤なコートを着た美輪さんが俺に近寄って来て話し込んだこともあった。俺は講演会の帰りで「来てくれるのはババアばっかりですよ」なんて軽口を叩いていたがなんかの拍子に「こんな俺でいいんですかね」と聞いたことがある。そうしたら真顔で、
「あなたはそれでいいのよ。下町っ子なんだから、ああいうしゃべり方でいいの」
実は俺が半世紀以上続けている「ミュージックプレゼント」の中継で「ジジイ」「ババア」発言の誕生がこうだ!
あれはお袋が亡くなってすぐのこと。スーパーマーケットの現場に行ったら、暇な年寄りがワラワラと集まって来てね。その中にちょっとばかりうるさすぎるババアがいた。顔を見たら、お袋と同じくらいの年だなと思った途端、知らないうちに口が動いちまった。
「うるせえなァ、ババア。俺ンとこのたぬきババアはくたばったってのに、こっちのババアは憎たらしいほど元気じゃねぇか」
それまで「ジジイ」「ババア」なんてラジオで言ったことがなかったんだ。
ところがこの時、パチンとタガが外れちまってね。TBSに抗議の電話が殺到したってわけさ。「サザエさん」の初代マスオ役でも知られるスタジオの近石真介さんやスタッフは、「本当に元気のいいお年寄りなんだから、そう言ったっていいじゃないか」って擁護してくれてね。ありがたかったな。
そんなことがあったもんだから、そのことを気にかけてくれて「ああいうしゃべり方でいい」と言ってくれたんだろう。
これにはまだ続きがある。
「あなたは柄は悪いけど、品性が下劣じゃない。言葉だけ聞いたら喧嘩売ってるように聞こえるけど、あなたの気持ちと顔を見れば必ずわかってもらえる」
その言葉に励まされ、背中を押され、今までやってくることができたんだ。
さらに美輪さん、
「品性下劣は許せない」
言葉だけ丁寧だけど、腹ん中は真っ黒。そんな輩が政治家や役人に多い。俺も同感だな。そういえば別れ際に、「蝮さんは長生きする」って言ってくれたな。
なんでも俺の後ろには、弥勒菩薩になったお袋がついているらしい。するってぇと90の急坂登り切って、無事に白寿にたどり着けるってわけか。うわっはっは。
毒蝮三太夫(どくまむし・さんだゆう)1936年生まれ。石井伊吉(本名)で「ウルトラマン」(TBS系)などに出演。「笑点」(日本テレビ系)2代目座布団運びでの出演を機に現在の芸名に改名。69年より出演を続ける「ミュージックプレゼント」(TBSラジオ)のほか、ユーチューブ「マムちゃんねる」でも現役で活動中
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