事件

金正男が激白「北朝鮮を解放する!」(4) 「常に警護されている」真意

 緊迫した兄弟関係を裏付けるような事件もあった。
09年4月には、正男氏が平壌を訪れた際の別荘「ウアム閣」に、北朝鮮の秘密警察の捜査員が乗り込んで内部を捜索、中にいた人たちが連行された。実はこの捜査員を差し向けたのが正恩氏で、正男氏とその同調勢力に打撃を与えるのが目的だったという。
 以来、正男氏は平壌行きを控え、現在、中国で生活している。その正男氏は、五味氏によれば、「監視か保護かわからないが、常に警護されている」という。これは何を意味しているのか。五味氏は同書の最終章でこう記している。
〈中国が隣国の指導者の長男を保護しているのは、単なる親切心や礼儀からではない。正恩体制が破綻した際、思想的に中国に近い彼を平壌に送り込み、次期指導者に仕立て上げる目論見があるのだろう〉
 日本で報じられた正男氏出現のニュースだけを見ていると、日本、パリ、北京など、正男氏は国外をあちこち放浪しているように思えるが、実は、その裏にはスリリングな“正男擁立シナリオ”が見え隠れする。この点をあらためて五味氏に聞いてみると─。
「正男擁立シナリオが実行に移される可能性は、現段階では非常に少ないでしょう。正恩体制がしっかり出来上がっていますから。将棋でいえば、最後の重要なところで使う切り札の駒のようなものだと思います。北朝鮮は経験のない若い指導者を擁立しました。彼がもし、国をうまく運営できず、住民の信頼を失った場合などに、中国が正男氏をリーダーの一人として送り込む可能性があると見ています」
 ところでこの本の出版が与える影響が小さくないことは、当然、予想されるところだ。五味氏が出版を打診したところ、正男氏は、
〈ご理解をお願いします。北朝鮮の政権が、私に危険をもたらす可能性もあります〉
 と、今回の時期での出版について断っている。昨年大みそかのメールだった。
 それでも出版に踏み切った真意について、五味氏はこう話す。
「彼の立場ならそうでしょう。ただ、北朝鮮が17年間統治した指導者を失い、どの方向に向かうかはっきりしない中で、長男の意見を広く世間に伝えるほうが意味があると考えました。さらにこの本を通じ、正男氏のイメージが変わり、多くの人が関心を持つようになれば、逆に正男氏にうかつなことはできなくなると思います」
「父・金正日と─」は発売前後から大反響を呼んだ。日本、韓国はもちろん、米国や英国、豪州など世界中のメディアから取材依頼が殺到しているという。
 ところで今、正男氏は、どこでどうしているのか。
「本を出すなら、われわれの関係は終わりだ、と言っていました。本への反応はありませんが、たぶんどこかで入手して読むでしょう。そしてまた連絡してくれることを願います」(五味氏)
 五味氏のメッセージに、正男氏が再び応えてくれることを期待したい。

カテゴリー: 事件   タグ:   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    自分だけの特別な1枚が撮れる都電荒川線の「マニアしか知らない」撮影ポイント

    「東京さくらトラム」の愛称で親しまれる都電荒川線はレトロな雰囲気を持ち、映えると評判の被写体だ。沿線にバラが咲く荒川遊園地前停留所や三ノ輪橋、町屋駅前は人気の撮影スポット。バラと車両をからめて撮るのが定番だ。他にも撮影地点は多いが、その中で…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

    テレビ業界人が必ず見ているテレビ番組「次のブレイクタレント」「誰が最も面白いか」がわかる

    「業界視聴率」という言葉を、一度は聞いたことがあるはずだ。その名の通り、テレビ業界関係者が多く見ている割合を差すのだが、具体的なパーセンテージなどが算出されているわけではない。いずれにしても、どれだけ業界人が注目して見ているかを示す言葉だ。…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【悲哀】どうしてここまで差がついた…ハナコの番組で四千頭身が「無名の若手芸人の役割」
2
元大関・朝乃山「重傷で秋場所全休」また番付急落は「トランプ前大統領の呪い」のせいだった
3
槙原寛己が呆れロバーツ監督は怒っている!「大谷翔平はプレーオフで投げるのか?」は今季のワースト愚問だ
4
【大相撲】引退カウントダウンの遠藤が「新部屋を立ち上げる」がっぷり万全計画
5
岡本和真・戸郷翔征に菅野智之まで…阿部巨人が優勝しても頭が痛すぎる「オフの大モメ激突」問題