JRA通算3453勝、GⅠの優勝回数は歴代トップの65勝(2月5日時点)を記録している天才ジョッキー・武豊騎手(42)。しかし、05年に自己最多となる年間215勝をあげて以降は、徐々に下降線を描き始め、昨シーズンはわずか64勝。勝率、連対率ともに過去最低に終わり、デビュー2年目(88年)から続いていたJRA「GⅠ連続勝利記録」も23年でとぎれた。スポーツ誌デスクが話す。
「今週末、今年最初のGⅠ『フェブラリーS』が行われます。このレースがGⅠに昇格したのが97年。ユタカは昨年まで15年連続で騎乗していて、3勝をあげている縁起のいいレースなんです。ですが、今年は騎乗依頼がありませんでした」
ところが、10年に同レースを制し、今年も優勝候補の1頭にあげられるエスポワールシチーの主戦ジョッキー・佐藤哲三騎手が落馬骨折。その佐藤哲騎手の代わりに、武豊騎手が手綱を握ることが決まった。
「サトテツ(佐藤哲騎手)が『ユタカさんに乗ってほしい』と代役に指名したんです」(前出・デスク)
JRAの所属騎手全員が加盟する「日本騎手クラブ」の会長も務める武豊騎手だけに、騎手たちからの信頼は厚いようだが、JRAのGⅠ65勝、地方交流GⅠ25勝、海外GⅠ7勝もしている天才ジョッキーが、乗り替わりでやっとGⅠに騎乗できるという背景には、何があるのか。栗東トレセン関係者が話す。
「武豊が並の成績しか残せなくなったのは、10年3月に落馬して、4カ月の重傷を負ってから。完治しないまま復帰したこともあってか、それ以降、期待を裏切る騎乗が目立ち始めた」
それに拍車をかける形になったのが、親密な関係だった社台グループ(競走馬の生産牧場集団)からの“騎乗禁止宣言”だという。
「きっかけは、復帰後のGⅠ『ジャパンカップ』。結果的に武豊が乗ったローズキングダムが優勝したわけですが、それは、1位で入線したブエナビスタが降着となり、2位に入線した武豊の馬が繰り上がりで優勝となったもの。この時の騎乗ぶりを見た『社台グループ』の総帥・吉田照哉氏が激怒。『もう、うちの馬にユタカは乗せるな』と、東西の調教師に伝えたそうです」(前出・栗東関係者)
昨年、史上7頭目のクラシック3冠馬・オルフェーヴルを誕生させるなど、現在の競馬界は社台グループの“1強状態”と言っても過言ではない。ある調教師も、こうボヤく。
「ユタカの件は、それこそ子供のイジメと一緒。ただ、大将の社台が命令すれば、子分の調教師は従うしかない。でもね、競馬が今のように社会的に認知されるようになった功労者の一人が、このまま冷遇されていていいのかね‥‥」
乗り替わりとはいえ、今週末のGⅠが復活のノロシとなるのか。天才ジョッキーの騎乗に注目が集まる。
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