社会

榎木孝明が実践した「不食」の健康境界線とは?「食べないことで症状が消えた」

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 30日間、俳優は固形物を口にすることなく生き長らえた。さぞかしフラフラになっているかと思えば、食べないことで身も心もすこぶる好調というではないか。ならば、「さっそく試してみたい!」という方もいるだろう。でも、ちょっと待った! まずは、生死を分ける「不食」のポイントを熟知すべきなのだ。

「不思議ですが、一度も空腹感はなかった。心地よい満腹感に満たされているような‥‥。苦痛を探してもないんです」

 6月17日、俳優の榎木孝明(59)が、30日間の「不食」を終えてこう語った。

 その不食生活を、榎木はネット上に毎日公開していたが、口にしたのはコーヒーやお茶などの水分だけで固形物は食べていない。さすがに、糖分と塩分を補給するために塩飴は口にしたものの、採血や検尿、心電図の検査で、まったくの異常なし。もちろん期間中も仕事をこなしていた。

 体重は9キロ減の71キロをキープ。会見での榎木の表情に疲れはうかがえず、むしろすがすがしい顔つきで、

「集中力が増して本を読むスピードが格段に速くなった。睡眠も深くなり4時間眠ればスッキリ。腰痛も消えました」

 と、体を壊すどころか、いいことずくめというのだ。

 驚くべき“効果”だが、榎木よりも先に長らく不食を実践し、恩恵を実感してきた先駆者は多い。

 大阪府で鍼灸院を営む森美智代氏もその一人。19年間、1日1杯の青汁しか口にしていないという。

「私が不食を始めたのは21歳の時でした。ある日、体がふらつき、まっすぐ歩けなくなったのです。医師が下した診断は脊髄小脳変性症でした。薬も治療法もない難病と言われたんです。そこでワラにもすがる思いで、甲田光雄先生(故人)の所へ行ってみたところ、『大丈夫。治るよ』と言われたんです」(森氏)

 甲田氏は、大病院がサジを投げた慢性病患者らに、東洋医学や民間療法での治療に取り組んだ医師だ。自身の慢性病に苦しんだ経験から、菜食中心の少食療法「甲田メソッド」を編み出したことで知られている。

 その甲田氏のもとで、森氏はまず断食を試した。すると病状は現れず、むしろ食べると悪化した。一時的な断食から常に食べない不食に移行。以来、不食を実践し続け「青汁1杯」の生活を続けてきた。余命5年から10年と言われながら、52歳となった今もピンピンとしており、その奇跡の体験は記録映画にもなっている。

 もう一人の不食実践者が、新潟で農業を営む山田鷹夫氏だ。きっかけは、より観念的な理由だった。

「もともと、20代の頃から玄米食を好んで、粉状にして摂取するなど、いろいろな食べ方を試していたんです。50代になった01年7月から食べないことに挑戦してみたくなったんです。人は食べることにとらわれすぎているのではないかと思ったのが始まりでした。そもそも無理して働くのも食べるため。だから、食べなくてはいけないと思い込んでいるだけなのではないか、そこから解放されてみたいと思ったのです」(山田氏)

 いわば、常識を打ち破る、非常識へのチャレンジだった。そんな山田氏も不食で榎木と同じように、頭がスッキリして集中力が増し、腰の痛みも消えたという。

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