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記事全文を読む→黒木華 脇役でも目を引く“演技派女優”の艶技とは?
平均視聴率で今期ドラマ最高の14.9%、最終回では17.7%を叩き出した「天皇の料理番」(TBS系)。低迷するドラマ界で気を吐いたこの作品に影で貢献したと言われているのが、主人公の妻役を演じた黒木華〈はる〉(25)。決して目立つ顔だちではないが、どこか光る演技。その裏には難しい「艶技」に体当たりで挑んだ過去があった。
作家・麻生千晶氏が「天皇の──」での黒木について、こう話す。
「まず、明治大正期が舞台のドラマに、あの瓜実顔で、中高なお顔のつくりがピッタリで、彼女を起用した制作サイドの選択がよかった。黒木さん演じる高浜俊子という役柄は派手に動き回る役ではなく、その分、目や口元、しゃべり方で内面を映し出す“静”の演技が必要ですが、この力を高い水準で持ち、役柄を心から理解し、真剣になれる力もあったから、視聴者に響く演技ができたのでしょう」
麻生氏は黒木の演技力は高視聴率の一要因にすぎないとも強調するが、大日本帝国一のコックを目指す怒りっぽい性格の佐藤健(26)扮する秋山篤蔵を支え続けた俊子の静かな奮闘ぶりは確かに印象的だった。
「実際、秋山の晩年が最終回で駆け足で描かれ、消化不良気味なのに対し、俊子の最期はその前週に1話まるごと使って丁寧に描かれており、まさに主役を食っていた」(ドラマ関係者)
黒木は、これまでのところドラマや映画では脇役がほとんど。にもかかわらず、こうも記憶に残る理由について、芸能評論家・佐々木博之氏はこう指摘する。
「林海象氏、野田秀樹氏ら日本映画・演劇界の巨匠の薫陶を受けて育ってきただけあり、演技力はズバ抜けている。古きよき日本人顔で着物がよく似合い、NHK朝ドラ『花子とアン』では、婚約者を亡くしながら強く生きる女性を熱演していましたが、役柄によく染まっていた。彼女自身にアクがなく色がないからできることで、欠点を強みにできる。ただ、顔だちも似ていますが、蒼井優(29)ばりの魔性も持ち合わせていそうに見える。相手に自分のことを好きに思わせておいてアッサリ振ってしまうような‥‥」
そんな黒木の魔性が見え隠れする作品が、昨年公開された山田洋次監督の映画「小さいおうち」(松竹)。昭和前期に東京郊外の一軒家で暮らす会社員一家3人に仕える女中・タキ役を演じていた。映画記者が言う。
「当初、会社員夫人役の松たか子(38)が、吉岡秀隆扮する夫の部下と着物姿で演じる濃厚な背徳シーンが目玉とされていた。しかし、情事に溺れる松を見守るタキに扮した黒木の演技も出色だった。物語前半で松の足をマッサージするシーンでは眉間にシワを寄せて、『‥‥気持ちいい』と吐息を漏らす松を見る目線や、松が外出先から帰ってくると帯が替わっていて、不貞行為に及んだことを察したその時に見せる複雑な表情が意味シンでした。生涯結婚せず、老女となったタキが物語の語りべとなっています。語りべのタキは別の女優が演じているんですが、要は生涯、松に『淡い恋心』を抱いていたために独身を通したという筋立てです」
若き日のタキを、同性である松に対する「恋心」とともにみごとに演じきっていたのだ。
この演技で黒木は、第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を左幸子、田中絹代、寺島しのぶに次ぐ日本人4人目、最年少で受賞している。
私生活ではまだ男の噂は聞こえてこないが、今後の「黒き華」が咲くような魔性ぶりが気になってくるのである。
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