スポーツ

最古参記者・三宅充×中澤潔が語り尽くす!大相撲“八百長問題・伝説の名勝負”「今の力士は稽古しない」

20150924_1001bb

三宅 遠藤のことをいえば、稽古相手が部屋にあまりいないのに、出稽古に行かないね。師匠(追手風親方)はもっと稽古に出さないとダメですよ。

中澤 相撲がうまく、強いところもあるが、外国人と比べると、足りない部分がいっぱいある。

三宅 照ノ富士が強いのは日馬富士、宝富士、安美錦ら稽古相手がいっぱいいて、親方が目を光らせている伊勢ケ浜部屋だからですよ。

──旭富士は現役時代、親方泣かせの稽古嫌いだったのに、親方になったらガゼン、鬼のようですもんね(笑)。

中澤 その意味でいえば、素質に恵まれた力士に加えて、指導者の資質という環境面も必要だということですよ。

三宅 それにしても、今の力士は稽古しないね。本場所では立ち合いの変化が多いしね。太りすぎで、稽古できなくなっているんだ。

中澤 今の相撲は3秒以内で決着がつく取組が全体の3分の1もある。お客さんにしてみれば、俺たちは何を見に来たんだ、ということにもなりかねない。ふだんの稽古から見応えのある相撲を取るよう指導しなければならないのに、親方の考え方が「大きければいい、重たければいい」でしょ。だから、立っていられないほど太っているのもいる。僕は日本人力士のいちばん悪いとこはそこだと思う。

 ところで、4年前の本場所中止は力士が起こした不祥事が原因だった。その翌場所は技量審査となったが、2場所も興行収入が入らなかったため、相撲協会は数十億の損害を被ったと言われる。

三宅 大相撲は戦争真っ最中の1945年6月に本場所をやって、終戦直後の11月にも開催しているのに。

中澤 困難な時期にも開催しているんですよ。その意味では、あの八百長スキャンダルは戦後最大の危機だったと言える。

──八百長は本当になくなったんでしょうか。八百長告発で知られる元力士に聞くと、「不自然な相撲」は今もあるそうですが。

中澤 今年の名古屋場所千秋楽の琴奨菊と照ノ富士の一番。琴奨菊が立ち合いの変化で照ノ富士を転がしたが、負ければ大関陥落という一番でももうちょっとしっかり取ってほしかった。

三宅 昔から大関同士で助け合う「大関互助会」というのがあったが、今でもあるのかもしれない。

中澤 あうんの呼吸でそうなったのかもしれないが、相撲協会は真剣勝負を売り物にしているんだから、許したらいけないと思いますね。そうじゃないと、下の力士に示しがつかない。

三宅 私は昭和20年代~40年頃まで、支度部屋で八百長工作の現場をたびたび目撃した。名前は言えないが、ある部屋の力士が別の一門の大関に負ける代わりに、さる横綱がその大関から星を1つもらう。そんな交渉をしていた。横綱の代理として、同じ部屋の格下の力士が支度部屋に顔を出した。そういう交渉を堂々としていたんですからね。

三宅充:1930年、東京都生まれ。読売「大相撲」編集長を経て、相撲ライターに。戦後大相撲の生き字引的存在。大相撲の著書多数。

中澤潔:1934年、広島県生まれ。報知新聞記者、毎日新聞記者として相撲や水泳などを取材。89年に退社してフリー。著書に「大相撲は死んだ」(宝島社新書)。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<中年太り>神経細胞のアンテナが縮むことが原因!?

    加齢に伴い気になるのが「中年太り(加齢性肥満)」。基礎代謝の低下で、体脂肪が蓄積されやすくなるのだ。高血圧や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に結びつく可能性も高くなるため注意が必要だ。最近、この中年太りのメカニズムを名古屋大学などの研究グル…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<巻き爪>乾燥による爪の変形で歩行困難になる恐れも

    爪は健康状態を示すバロメーターでもある。爪に横線が入っている、爪の表面の凹凸が目立つようになった─。特に乾燥した冬の時期は爪のトラブルに注意が必要だ。爪の約90%の成分はケラチン。これは細胞骨格を作るタンパク質だ。他には、10%の水分と脂質…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「王貞治の言葉」で一気に現実味を帯びる「田中将大の移籍先」に「ソフトバンク」
2
ソフトバンクFA甲斐拓也「茶髪バッサリ」が示唆する「あの金満球団」への「移籍準備」
3
久里亜蓮「まさかのオリックス移籍」人的補償でプロテクトから外れる候補に「超意外な大ベテラン」
4
橋本環奈【おむすび】に視聴者辛らつ「今日で最終回ならよかったのに」
5
「バス旅」情報続々で…「ポスト蛭子能収」は2人の「クズ芸人」太川陽介が認めるのはどっちだ