芸能

紅白歌合戦“ドラマチック歌姫”の60年史!【<73年第24回>「ひなげしの花」アグネス・チャン】

20151210g

 72年に香港からやって来たアグネス・チャン(60)は、あっという間にトップアイドルに成長。デビュー年度に出場することは難しいとされる「紅白」の切符も手に入れた。

── 香港にいた頃、紅白の価値は知っていました?

アグネス 日本の芸能界のことは何も知らなかったんですよ。私、デビュー曲の「ひなげしの花」の発売が72年の11月25日で、新人賞は73年度になるんです。来日直後の72年の大みそかに、日本で初めて紅白を観ました。

── どんな印象でした?

アグネス 渡辺プロ・渡辺晋社長のお宅に居候していたんです。紅白が終わると新年会が始まって、私は眠い目をこすって待っていました(笑)。天地真理さん、小柳ルミ子さん、森進一さん、ザ・ピーナッツさん、布施明さん、沢田研二さん‥‥大スターの方々と初めて顔合わせしました。

── まさしく全盛期のナベプロ帝国ですね。

アグネス そこで皆さんに紹介されて、社長に「お前も頑張れば皆のように紅白に出られるから」って言われて。なぜかその場は大爆笑になっていました。

── それを聞いて「紅白が目標!」という感じになりましたか?

アグネス とんでもない、1曲目が売れるかどうかもわからないんですから。

── とはいえ「ひなげしの花」が32万枚、勝負曲の「草原の輝き」が44万枚、4枚目の「小さな恋の物語」が58万枚と、73年組では圧倒的なセールス。桜田淳子や山口百恵にも大差をつけています。

アグネス 新人賞レースの幕開けとして10月に「新宿音楽祭」があったんです。これを獲ったら、アグネスは日本の歌手として認められるよと言われました。幸い、金賞を私と八代亜紀さんで受賞しまして、その後の「日本歌謡大賞」も「日本レコード大賞」もノミネートされました。

── 歌謡大賞は桜田淳子と並んで最優秀新人賞、ところがレコ大では下馬評を覆して淳子がグランプリ。まさかという気持ちはありましたか?

アグネス 実は‥‥本番の前にわかっていたんです。マネージャーの人に「歌謡大賞は2人だから獲れた。だけどレコ大は無理だ」と言われて。人がたくさんいましたが、私、「どうしてです?」と声を荒らげたかもしれない。マネージャーは申し訳なさそうに「大人の事情があるんだ。だけど会社は紅白に全力を入れているから」と言ってもらえました。

── 新人賞を獲るよりも、初年度に紅白出場を決めるほうが難関です。

アグネス はい、さらに紅白出場が決まったら、香港の両親と姉も日本に呼んであげると言われて。だから私も気持ちを切り替えて、レコ大の中継が終わったらNHKホールに意識を向けていました。

── 初出場の緊張感はありましたか?

アグネス 若いから重みがよくわかっていなくて、そこまで緊張しなかったかもしれません。当時はビデオデッキもなく、つい最近ですよ、YouTubeで観て「こんな声してたんだ」と新鮮に思えたのは。

── さて、そんなアイドルも60歳を迎えました。心境の変化はありましたか?

アグネス あります! 私、ここ何年も限られた歌しか歌ってこなかったんですよ。でも、皆さんが聴きたい曲がたくさんあるということに素直になろうと思いました。当時のアレンジそのままにヒット曲をたくさん歌いたいし、もし紅白からオファーが来たら、喜んで出させていただきたいです。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「メジャーでは通用しない」藤浪晋太郎に日本ハム・新庄剛志監督「獲得に虎視眈々」
2
不調の阪神タイガースにのしかかる「4人のFA選手」移籍流出問題!大山悠輔が「関西の水が合わない」
3
2軍暮らしに急展開!楽天・田中将大⇔中日・ビシエド「電撃トレード再燃」の舞台裏
4
新庄監督の「狙い」はココに!1軍昇格の日本ハム・清宮幸太郎は「巨人・オコエ瑠偉」になれるか
5
【鉄道】新型車両導入に「嫌な予感しかしない」東武野田線が冷遇される「不穏な未来」