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記事全文を読む→天才テリー伊藤対談「加山雄三」(2)黒澤明監督の現場はどうでしたか?
テリー 僕らの世代で加山さんといえば、やっぱり「若大将」シリーズなんですよね。振り返ってみて、いかがですか。
加山 いや、何か楽しい思い出ばっかりでね。やっぱり田中邦衛さんとの出会いがすばらしいなと思った。田中さんは“青大将”と違って、むしろ「北の国から」のイメージの方ですからね、すごくいい人でびっくりしちゃった。僕はこれ、最初の1作(「大学の若大将」)で終わると思ってたんです。
テリー そんなことないでしょう。
加山 だけど「大学」「銀座」「日本一」とシリーズが続いて。さすがに「日本一」で終わりだろうと思ったら、今度はハワイに出ていったりして、さらに続いちゃった(笑)。
テリー 僕はあの頃、「加山さんは星由里子さんと結婚するんだろうな」と真剣に思ってましたよ。
加山 みんなそう思ってたみたいだけど、僕には当時ガールフレンドがいたし、あちらにもボーイフレンドがいたと思う(笑)。
テリー でも、あれだけシリーズが続くと、「そうなってほしい」っていう雰囲気がありましたよ。
加山 こちらはシリーズが続いたことで、若大将のイメージが強くなって、僕の俳優としての幅が少なくなっていった気がしたんですよ。だから黒澤明さんの映画に出させてもらえた時、初めて「俺はこの世界で頑張ろう」と思えたんです。そこで人生が大きく変わりましたよ。
テリー 名作の「椿三十郎」「赤ひげ」ですね。黒澤さんとの仕事から、どんなことを得ましたか。
加山 やっぱり「こんなすごい人が世の中に存在するんだ」っていうね。もう雰囲気からして違う。例えば、脚本の読み合わせは、ちゃんと羽織袴や刀を身につけてから始まるんですよ。
テリー 普通は、私服ですよね?
加山 そう。でも、最初からチョンマゲも結って、刀も本身をつけて、草履や足袋を履いて歩かされる。しかも、撮影があろうがなかろうが、朝から晩まで。こんな経験初めてでした。
テリー なるほど、侍の所作を「演技」ではなく「日常」として認識させるということなんですね。
加山 そうです。で、完成した「椿三十郎」を観たら、「やっぱり、こんなにおもしろい映画はないな」って感動したんですよ。
テリー いや、本当におもしろかったですよね。
加山 最高に好きな映画ですね。
テリー 続いて「赤ひげ」にも出演されましたよね。
加山 ええ、でもそのあと仕事がものすごく忙しくなって。年に2本くらい「若大将」を撮ると、そのたびにヒット曲が出るじゃないですか。そうすると、テレビ出演が大変なことになってしまったんですよ。
テリー あ~、黒澤組に拘束されると、他の仕事をさせてもらえないんですよね。
加山 そうです、そのしわ寄せが一気に来ちゃったんですね。そんなある時に、道を歩いていたら黒澤さんとバッタリ出くわして「加山、テレビに殺されるなよ」って、小さな声で言ってくれたんですよ。あと、「お前、大きくなったな」とか言われたりね。
テリー それ、どういう意味ですか?
加山 「(自分で)いろんな意味を考えろ」なんて返されてね。とにかく、存在が別格の人でしたね。
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