芸能

天才テリー伊藤対談「ピーター」(3)黒澤明監督の肩を叩いたら周りが…

テリー 芸能界デビューして50年だけど、これまでに大きなターニングポイントみたいなものはありましたか。

ピーター 一番の転機は24歳の頃かな。レコード会社は私の今後の売り方を迷っているし、「演技の勉強がしたい」とプロダクションにお願いしても「そんな暇があるなら営業に行ってくれ」なんて返されちゃうしで、なんか煮詰まっちゃったわけ。だから事務所に「辞めます」って言って、ニューヨークに行っちゃった。

テリー 向こうでは、どうだったの。

ピーター うん。2カ月ぐらいだったけど、すごく刺激的だった。ブロードウェイの舞台を観てても、みんなが笑顔で仕事をしているものだから、話しかけてみたら「好きな仕事をやっているんだから当然だよ」って言われて、すごくショックで。

テリー ああ、基本は事務所から来る仕事をこなしていくものだからね。

ピーター だから「これからは自分のやりたい仕事を自分で見つけよう」と思って、日本に帰ってからは野田秀樹さんや小沢昭一さんの劇団の舞台に出たりしていたら、黒澤明監督から「ちょっと会いに来てくれ」と呼ばれてね。

テリー それ、本当にすごい話だよね。緊張したでしょう。

ピーター もちろん。勝手に怖い人というイメージを抱いていてドキドキしていたんだけど、部屋のドアを開けたら、サングラスを外してニッコリ笑って迎えてくれて、そこで一気に緊張がほどけた。そしたら「今度『乱』という大きな映画を撮るんだけど、出てくれるかい?」って。

テリー あの作品、ピーターはすごく重要で、印象的な役だったよね。

ピーター うん、仲代達矢さん演じる一文字秀虎に仕える道化・狂阿弥役。殿にもズケズケものを言う役だから、黒澤さんはいつも大事なシーンの前になると、「ピー公へ」と書かれた手紙をくださった。「僕にもいろんなことをズケズケ言わなきゃ。まだ借りてきた猫みたいだよ」なんて書いてあって。

テリー シャイなんだ。

ピーター そうなの。そんな言葉をいただいちゃったので、現場に入る時、一度だけ「おはよう、黒ちゃん」って、監督の肩をポンと叩いたことがあるんですよ。もちろん怒られなかったけれど、周りは凍りついてましたね(笑)。

テリー アハハハ、そりゃそうでしょう。普通できないよ、それ。最近の仕事だと、やっぱり「下町ロケット」の中川弁護士役が新しいイメージを打ち立てたよね。あと、大林宣彦監督の映画「花筐」の娼婦役も印象に残ってますよ。

ピーター 本当に? 「下町──」の中川役は、私自身もビックリした。まさかオファーが来るとは思ってなかったから。しかも、本当は3年前のシリーズ、2話だけで出番終了だったのが最終回にも出て、今回も「出番がある」って言われてね。

テリー やっぱり存在感がハンパじゃないからね。

ピーター 特に今回は「ヘビ野郎」扱いの嫌われ者だったでしょう。ある時、新幹線の中で会ったサラリーマンに、「あれ以上、意地悪しないでよ」なんて言われちゃった。

テリー フフフ、でもそれってすごくうれしいよね。

ピーター うん。いいドラマに出ると、こんな経験ができるんだね。

テリー あらためて、ピーターの演技のすごさをお茶の間に知らしめた機会になったと思うよ。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
3
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
4
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身