社会
Posted on 2016年02月27日 09:55

秋津壽男“どっち?”の健康学「精力の低下を放置しても大丈夫か?男の沽券を守るためには薬頼みもOK」

2016年02月27日 09:55

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 日頃、診察をしていますと思いがけない相談を受けることがあります。下半身の相談もしかりで、中年男性からは、

「最近、アッチのほうが年のせいか元気がなくなってきて‥‥。どうしたらいいでしょう?」

 とションボリされる患者さんもいらっしゃいます。

 それはそうでしょう。男性のそうしたところは、単に女好きかどうかだけでなく、男性の沽券に関わる問題。世の男性なら一度は悩んだことがあるのではないでしょうか?

 そこで質問です。アッチの元気がなくなってきた場合、「薬を服用してでも勃起させるべき」か、「放っておいても大丈夫」か──。どちらをアドバイスするでしょうか?

 こうした場合、私は「薬を服用してでも定期的に勃起する習慣をつけてください」と答えています。というのも勃起力というのは、セックスの有無に限らず、70歳になっても朝勃ちをすれば「俺は元気だ」という自信につながります。つまり、男性の場合「勃つ」という現実が、メンタル的にも明るく前向きな日々を過ごす鍵となるからです。

 インポテンツと呼ばれる勃起不全の原因の多くは「失敗したらどうしよう」「また勃たないかも」というストレスが原因となります。パートナーや親しい関係ほど「またなの?」と言われたくないために、プレッシャーがかかるわけです。そう考えると、彼女や奥さんが相手だと勃起しないのに、風俗や、行きずりのお相手には勃起するのは不思議なことではありません。一般的には、浮気や風俗遊びは、女性の容姿に引かれて勃起したと思われがちですが、実際にはプレッシャーがかからないことで「1回こっきりだし、失敗してもいい」と割り切っているからこそ、勃起も可能になるのです。

 いわば、性欲は精神面がキーポイント。定期的に勃起させないと、異性のみならず、物事に取り組む意欲がなくなり性欲も減退します。薬を使ってでも勃起させるのは一つの手段として有効です。

 バイアグラが開発された際、その効き目について実験したところ、おもしろい結果が見られました。

 本物のバイアグラと、バイアグラによく似たプラセボ(ニセ薬)を用意して、A群の人には本物を、B群にはニセモノを飲ませました。全員が本物かプラセボかを知らずに飲んだところ、A群は7割が勃起。そして、プラセボを飲んだB群も4割が勃起に至りました。つまり、勃起薬だと思って飲めばニセ薬でも勃起できるということが証明するとおり、勃つかどうかというのはメンタルに左右される面が大きいと言えるのです。

 一方、メンタルではなく「金冷法」などのように男性自身を鍛えれば、勃起力が上がるという鍛錬法などもはやりましたが、残念ながら、効果はまったく期待できません。あしからず。

 また男性のみならず、女性にも同様な悩みがあります。それは「閉経」です。閉経を迎えると、女性は「自分が女でなくなる」と「打ち止め感」にさいなまれ、自信を失います。女性の場合はホルモンバランスの変化も大きいですが、精神的にも急に老け込んでしまうケースが見受けられます。

 人生80年時代を迎えた日本ではこうした問題は、あまり表立ってはいませんが、今後ますます顕在化するに違いありません。そうした中高年の男女にとって、一番の処方箋は、ズバリ「ときめき」です。

 芸能界でも女優の桃井かおりさんのように、60歳を過ぎて結婚する方は、つくづく若々しいと思います。老いらくの恋をしたり、年齢を問わず、セックスすることによるアンチエイジング効果こそ絶大だと言えるでしょう。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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