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記事全文を読む→死んでも「アイツ」に勝ちたかった② 長州力 (1)
アマレスでは輝かしい実績を残したエリートが、プロレスの世界ではスターレスラーの引き立て役でしかなかった。しかしあの日、ついにジェラシーが爆発。人生を一転させるほどの行動を起こした長州が、藤波と繰り広げた「名勝負数え唄」の真実を激白する。
何にも劣るものはなかった
「藤波、俺はお前のかませ犬じゃないぞ!」
藤波さんに対して僕が言ったというんだけど、この言葉が有名になりすぎて、独り歩きしてるよね。なぜあの言葉が出たのか、よく聞かれるけど、人間、パッとキレた時にはそういう言葉を吐くもんですよ。
僕の田舎(山口県周南市)では年に何回か、地回りの人たちが闘犬をやっていましてね。最近はどうか知りませんが、子供の頃、よく観に行ったもんですよ。
闘う犬が檻(リング)に放り込まれる前に、スパーリングとして、口を縛られたいわゆる「かませ犬」をあてがわれるわけ。これから闘う犬に、無抵抗な犬をかませて自信を持たすためでしょうね。
そんなかまれるだけの犬を見て、子供心に「かわいそうだな」と思ってましたね。その記憶が試合中にフラッシュバックして出てきたんでしょう。前もって考えたセリフなんかじゃないんですよ(笑)。
1982年10月8日、後楽園ホール。長州力(60)は新日本プロレスのエース候補、藤波辰爾(58)と同じタッグチームで試合に臨んでいた。アマレスでミュンヘン五輪代表という実績を誇りながら、この頃の長州は「素質はありながらも、うだつが上がらない地味な若手レスラーの一人」にすぎなかったのである。
このタッグマッチは、長州の海外遠征からの凱旋帰国試合だったが、注目の的はスターレスラーの先輩・藤波であり、長州はあくまでも引き立て役だった。こんな状況にイラだっていた長州は、試合中にもかかわらずパートナーの藤波に反旗を翻すと、冒頭のプロレス史に残る名言とともに宣戦布告。「革命戦士」の誕生であった。
藤波さんへの「反抗」っていう意識はないんですよ。藤波さんと自分を比べて、何にも劣るものはないと思ってましたから。「藤波さんと同じことをやれなくはない」という気持ちは常に持っていたね、うん。自分なりの個性で感情が爆発した、一種のアピールですよ。ただ、自分の体からああいう感情が湧き出るっていうのは、あの時が初めてでしたね。それがうまい具合に、お客さんや視聴者の皆さんに伝わったということです。まあ、スタンドプレーですから、一歩間違えれば、とんでもないことでしたけど。
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