政治

金正恩・“暴君国家”北朝鮮が崩壊しないこれだけの理由(2)「改革派」正男より「不賢」の正恩

20160922o2nd-2

 李教授が続ける。

「文字どおり、高官でなくては手に入らない第一級の資料ばかりでした。ただ、韓国に北朝鮮資料を持ち込むことは国家保安法に抵触するため、高官が帰国する際、資料をそのまま私に託していったんです」

 李教授の著書では、独裁者・金正日の「欲望をまる出しにし、絶大な権力を手にしながらも生涯、コンプレックスと嫉妬に悩まされて生きてきた人間臭い男の姿」が描かれているが、

「正恩の世襲体制を作り上げたのは正日。彼は晩年、政治経験がほとんどない息子が代を継いでも独裁体制を揺るぎなく維持運営させていくために、それこそ心血を注いだ。そして、それをそのまま実行しているのが正恩なんです。つまり、正日という人物への理解抜きには、正恩体制の実態をつかむことはできないということです」(前出・李教授)

 正日の父・金日成は「北朝鮮建国の父」だった。だが、私生活では女性関係も奔放で、妻・金正淑との間で日々、争いが絶えなかった。

「だからこそ息子たちに自分と同じ思いをさせたくなかった正日は、家庭ではいいお父さんを演じていた。それがエスカレートし、世の中で最も甘い父親になってしまったんです。その証拠に、長男の正男が11歳でスイスに留学した時も毎日電話をかけ、受話器を持ちながら、会いたくて泣きじゃくったという話があります」(前出・李教授)

 正男の誕生日には「100万ドルを使いなさい」と指示したり、世界中を回って、欲しいものを買い与えたこともあったという。

「恐らくあの兄弟は正日から叱られたことはなかったし、もちろん叩かれたことなど一度もないはず。しかも『王子様』なので、周囲は言いなり。つまり、暴君になるべくしてなった、というわけです」(前出・李教授)

 ところが、その甘やかし三昧の教育が、やがてアダになって返ってくる。李教授がさらに解説する。

「正男を後継者と考えていた正日は、彼が20歳になる前に大佐の軍服を着せ、組織指導部から7人を随行させて、部隊の視察に行かせたことがありました。ところが正男は、どこの施設を視察しても文句を言い、ダメ出しをする。そして二言目には『改革しないとダメだ!』と。自分の主張を絶対に曲げない正男に、この国を任せたらどうなってしまうのか。さすがに正日も考えました。なぜなら旧ソ連や中国、東ヨーロッパを見てきた正日にすれば、国を亡ぼすのは改革だという思いがあった。権力を維持するためには、“改革”など断じて許されることではない。そこで後継者として選んだのが、自分の言うとおりに動く、あまり賢くない正恩だったというわけです。正男は自己主張はあったが、国に対するそれなりのビジョンがあり、正日はそれを恐れたのです」

 その後、正男は国外に「追放」され、マカオや中国で生活しているとされている。

カテゴリー: 政治   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」
2
高島礼子の声が…旅番組「列車内撮影NG問題」を解決するテレビ東京の「グレーゾーンな新手法」
3
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
4
「致死量」井上清華アナの猛烈労働を止めない「局次長」西山喜久恵に怒りの声
5
皐月賞で最も強い競馬をした3着馬が「ダービー回避」!NHKマイルでは迷わずアタマから狙え