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半世紀を経て黒澤明監督作が世界の映画人に影響を与え続けるワケとは?

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 黒澤明監督の名作時代劇「七人の侍」(54年)と、そのリメイク版西部劇「荒野の七人」(60年)を原案とする「マグニフィセント・セブン」が1月27日に公開される。残虐の限りを尽くして町を支配する男の一味に、デンゼル・ワシントン演じる賞金稼ぎやギャンブラー、伝説のスナイパー、ネイティブ・アメリカンなど7人が挑むもので、立場が違う者たちの対立と和解を織り込んだ原案作品とは少し味わいが違うが、個性豊かなキャラを際立たせ、派手なアクションと滅びの美学を見せる娯楽作だ。

 これまでにも「七人の侍」は、「荒野の七人」と続編の「続・荒野の七人」(66年)、「新・荒野の七人 馬上の決闘」(69年)、「荒野の七人 真昼の決闘」(72年)といったシリーズや、B級映画の帝王ロジャー・コーマンの製作総指揮で、「荒野の七人」のガンマン役のロバート・ヴォーン自身がセルフパロディとして演じたSF「宇宙の七人」(80年)など、多くのリメイク版を生み出してきた。また「用心棒」(61年)は、クリント・イーストウッドの出世作「荒野の用心棒」(64年)やブルース・ウィリス主演の「ラストマン・スタンディング」(96年)としてリメイクされ、ヴェネチア国際映画祭グランプリに輝いた「羅生門」(50年)は、ポール・ニューマン主演の「暴行」(64年)やタイのパンテワノップ・テークワン監督の「ウモーン・バー・ムアン 羅生門」(11年)としてリメイクされ、台湾のアリス・ワン監督も17年末の公開を目指してリメイク版の製作を発表している。

 世界の映画人が今も黒澤作品に題材を求めるのはなぜなのか。

「黒澤監督は海外文学に精通しておられ、映画化する際には翻訳ではなく原文をそのまま題材に使われていました。だからこそ監督ご自身のメンタリティ、人間の描き方が半世紀を経ても世界に通用するのではないでしょうか。ちなみに『荒野の用心棒』は無断のリメイクで、後にイーストウッドは黒澤監督に直接謝罪したそうです」(映画ライター)

「マグニフィセント・セブン」を見た人は、元となった黒澤映画にも触れて、その魅力の核心を確かめてみてはいかがだろう。

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