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記事全文を読む→ビートたけしの金言集「“ダンカンバカ野郎”と言った覚えなし」
「ダンカンバカ野郎!」
何の根拠もありませんが、もしかしたら、日本の人口の6割ほどの方々が一度は口にしたことのある言葉ではないでしょうか。
ビートたけしのものまねを実演する際、誰もが必ずチョイスするあまりにも有名なこのフレーズ。実のところ、殿は一度も、「ダンカンバカ野郎」などと言った試しはないのです。
去年の夏、その名もずばり「ダンカンバカ野郎!!」(フジテレビ系)といった深夜特番があったのですが、収録のためスタジオに入ってきた殿は、ダンカンさんにツカツカと近づき、
「ダンカン、俺よ、よく考えたら『ダンカンバカ野郎!』なんて言った覚えねーんだよな」
すると、言われたダンカンさんも、
「そうなんですよ~。僕も言われた記憶ないんですよ。ずーっとおかしいなーと思ってたんですけど、みんなが面白がってるからいいかなと思って‥‥」
と、驚愕の新事実を告げたのです。そのやりとりを聞いていた全員が、〈まじっすか!〉といった顔を作った後、爆笑になったのは書くまでもございません。で、周りの爆笑を受けた殿は、
「あれだろ。松村だろ。あいつが俺のマネする時言ってたのが浸透したんだよ」
と、実に納得のいく見解を示されていました。
わたくしもたけし軍団に入ってこのかた、殿が「ダンカンバカ野郎!」と叫んだ姿など見たことがなく、殿がおっしゃるとおり、その根源は確かに松村さんにあると強く察します。
松村さんがいつ、「ダンカンバカ野郎!」を使い出したかはわかりませんが、声や表情やしぐさだけでなく、その人の“思想”までもマネし、身も心もなりきる、松村さんの心の目には、殿が「ダンカンバカ野郎!」と叫んでいる画がはっきりと見えたのでしょう。しかし、言ってもいない言葉をチョイスしてここまで浸透させたのですから、松村さんの“ものまね力”に、改めて感服してしまいます。
そんな松村さんが「たけしになりきり殿と絡む」というやりとりがよくあるのですが、この時、わたくしが最も好きな場面は、松村さんが殿のものまねをやりつつ、顔の左半分をやたらといじるという仕草です。95年のバイク事故から復帰した殿が、まだ完治していない違和感のある顔の半分を気遣い、やたらと触っていた頃のものまねなのですが、正直言いまして、なかなかリスキーなものまねです。ですが、「お笑い至上主義」の殿は、松村さんのそのものまねを“あの野郎しょうがねーな”といった顔つきでニヤニヤしながらしばらく眺めると、
「松村、その仕草はやめろ!」
とツッコむのです。が、それでもやめない松村さんに、殿は最後に決まって、
「松村、やめろって言ってんだろ! どうでもいいけど、それ、顔が逆だろ!」
とツッコんで落とします。逆である左側の顔をいじる松村さん。それをさんざん泳がせておいて最後はスパッとツッコむ殿。何度見ても実に最高なのです。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!
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