社会
Posted on 2017年07月20日 05:55

魔窟・銀座の「みかじめと愛欲」60年戦争(3)まずはナポレオン10本だ

2017年07月20日 05:55

 奥澤健二が16歳で夜の世界に飛び込んだのは、東京五輪が開催された64年のこと。奥澤によれば、「みかじめ」という慣習が最もはびこったのは、この時代であるらしい。

「新しい店がオープンすると、そういう連中が『おい、誰に断って商売しているんだ?』とやって来る。それを無視すると、店に客として入ってはトラブルを重ねる。それに音を上げてというのもあるけど、地方からやって来るヤクザへの対抗手段としての『ケツ持ち』として払う場合もあった」

 警察では「みかじめ」を「伝統的資金獲得犯罪」と呼ぶように、シノギとしての歴史は古い。奥澤によれば、その内訳は以下のようになる。

「月々の支払いに加えて、正月が近づくと『お供えの餅代』として5万円とか、飾り用の門松を買わされるというのはあった。逆に、映画などでよく出て来る『おしぼりの卸し』や『観葉植物のリース』なんかは銀座にはなく、渋谷や自由が丘とかの話だね」

 奥澤が第一歩を刻んだ「高度経済成長期」も札束が乱れ飛んだが、自身が78坪もの大きな店を持つようになった80年代後半から90年代前半にかけての「バブル経済期」は、空前の活況を呈したと言う。

「ある有名な宅配業者のオーナーはクラブが大好きで、いつも5人くらい引き連れて来ては『まずナポレオンを10本空けろ』と言うんです。あの頃、ナポレオンは1本20万円くらいだったかな。それを女の子にバンバン飲ませて、余ったら家に持って帰れと言っていた」

 さらに1本30万円というルイ13世は、メロンを2つに切り、くり抜いたところに注ぐのが銀座ルールだったという。

「銀座にはもう1つ、長年の慣習として、1本10万円以上のボトルだと、だいたい50%くらいの『サービスチャージ』というのが付く。テーブルチャージやサービス料とは別で、俺たちは『オバケ』と呼んでいるんだけど、これは説明が誰もできないんだ。まあ、こうしたことを飲み込まないと銀座では遊べないということだ」

 奥澤らはバブルの時代を「銀座に大判小判がザクザク埋まっていた」と称する。実際、多額の現金が捨てられていたこともザラにあったし、奥澤自身も「飲み代で年に1億くらいは使った」と豪語する。

 さて今回、逮捕された梅木らの手口は、あいさつ料の名目で月3万~5万円、客引きがいる店には1人につき5000円程度を支払わせていた。

 一斉に摘発されたとはいえ、銀座が再び「金のなる木」となりつつある状態ゆえ、その“匂い”は消せないようだ。

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    政治
    2026年04月26日 08:30

    3月から4月にかけて、地方などの首長選で自民党推薦候補が相次いで敗北している。高市内閣が依然として高い支持率を保つのに、だ。PR会社関係者が明かす。「4月12日の東京・練馬区長選では自民などが推薦し、小池百合子都知事も支援した前都議が圧勝す...

    記事全文を読む→
    社会
    2026年04月24日 11:30

    まさに「泣きっ面に蜂」である。ほかでもない、「後発地震」と「山林火災」と「クマ出没」という、未曽有の「三重苦」に見舞われている岩手県大槌町の被害実態だ。町民の心胆を寒からしめているコトの次第を、時系列に沿って追ってみると…。三陸のリアス式海...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    政治
    2026年04月29日 15:00

    中国で今、国防の要となるエリート科学者たちが、まるで示し合わせたかのように次々と謎の死を遂げている。公表されているだけでも、その数は9人。死亡者の年齢は26歳から68歳までと広いが、中国メディアやSNSでは「深夜の交通事故」など、その死亡原...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/4/28発売
    ■680円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク