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記事全文を読む→夏の甲子園でスターになれなかった男たち(10)小川泰弘が21世紀枠で見せた“ライアン”前夜の投球術
通算324勝に計5714奪三振のメジャー記録を持つノーラン・ライアン。大きく足を上げて投げ込む独特のフォームがそのライアンを彷佛とさせるヤクルトのエース小川泰弘。13年のプロ入り以来、チームのローテーションの軸となっているが、そんな小川は愛知県の公立の強豪・成章のエースとして08年の春の選抜に出場を果たしている。中京大中京などの強豪私学がひしめく愛知県で過疎地の公立校ながら、継続して好成績を収めていることが評価されての“21世紀枠”での出場だった。
21世紀枠というと例年戦力が見劣りするというのが大方の見方だが、そこは野球王国・愛知のチーム。開幕カードで駒大岩見沢(北海道)と激突することになっても慌てることはなかった。特にエースの小川は試合前に徹底的に研究したという相手打線のクセを頭に入れ、打者ごとに攻め方を工夫する巧みな投球を披露。また得点圏に再三走者を背負いながらも強気に内角をつくなどしてチーム打率4割近い駒大岩見沢打線に長打を許さなかった。エラー絡みで2点を失い7回まで1-2とリードされるも、8回表に味方打線が反撃し、3-2と逆転に成功。9回裏に2死三塁と一打同点のピンチを迎えたが、後続を断ち、8安打されながらも失点2、自責点0で見事に初戦突破を果たす。と、同時に成章に春夏通じての初の甲子園勝利をもたらしたのである。
続く2回戦は古豪・平安(現・龍谷大平安=京都)との一戦。甲子園の名門相手に善戦したものの、2-3で一歩及ばなかった。惜しむらくは2回表の小川のピッチングだ。2死二塁から1つの四球と3本のタイムリーを緩し、一挙に3点を先制されてしまったのだ。その後は巧みな二塁牽制でピンチを断つなど、粘りのピッチングを披露していただけに、投球が単調になった2回だけが悔やまれた。
最後となった同年の夏は東愛知大会(記念大会で愛知県からは2校の出場枠があった)の決勝まで進出したものの、大府の前に11安打を浴び、1-3で敗退。春夏連続出場はならなかった。
高校時代は“投球術”が持ち味だった小川。それが今のようなライアンばりの豪快なフォームに変更したのは創価大学3年生時の夏だった。それ以降はリーグ戦で無傷の21連勝を達成。プロ注目の投手となるのである。
(高校野球評論家・上杉純也)
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