スポーツ

夏の甲子園でスターになれなかった男たち(2)菊池雄星は肋骨を折りながら154キロ

20160807kikuchi

 今では「大谷翔平の(花巻東の)先輩」といったほうが、世間での通りがいい菊池雄星(現・西武)だが、甲子園での注目度は大谷よりも数段上だった。

 07年の夏、1年生ながら甲子園で初登板。新潟明訓との戦いで、スコアレスで迎えた5回表からのリリーフ登板で被安打5、4奪三振で1失点。しかしこの1点が決勝点となり、初戦で敗退した。しかしこの日、最速145キロをマークしたことで一躍プロ注目の投手となったのだ。

 才能が開花したのは09年春の選抜。触れ込みは最速149キロを誇る大会NO1左腕。その前評判に違わぬ投球で菊池はチームを準優勝に導く。決勝戦こそ0-1で清峰(長崎)に惜敗したものの、全5試合で40回を投げて失点わずか3。被安打25、奪三振41という豪腕ぶりだった。

 当然のように、菊池擁する花巻東はその年の夏の選手権では優勝候補の筆頭にあげられる。チームは順調にベスト8へと進出したが、菊池の投球から春の凄味を感じないのは、誰の目にもあきらかだった。準々決勝の明豊(大分)戦も7-6と辛勝。しかもこの試合で、菊池はアクシデントに見舞われてしまう。4回までパーフェクトと好投したものの、5回途中で背中の痛みを訴え、緊急降板してしまったのだ。

 準決勝の中京大中京(愛知)戦では先発マウンドに立てず、4回裏2アウト満塁のピンチでリリーフ登板するも2本の長打を打たれ、わずか11球で降板。チームも1-11の大敗し、その夏に菊池がスターの立ち位置を極めることはついになかった。

 じつは初戦の長崎日大戦。8-5で勝利したものの、菊池は被安打9で3被弾で詰め掛けたファンや報道陣を失望させていた。ところが大会後の精密検査によって、左の5本目の肋骨が折れていたことが判明。それでも3回戦の東北(宮城)戦では自己最速の154キロをマークしたことは、当時のNO1左腕の意地だったのだろう。

(高校野球評論家・上杉純也)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」
2
高島礼子の声が…旅番組「列車内撮影NG問題」を解決するテレビ東京の「グレーゾーンな新手法」
3
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
4
「致死量」井上清華アナの猛烈労働を止めない「局次長」西山喜久恵に怒りの声
5
皐月賞で最も強い競馬をした3着馬が「ダービー回避」!NHKマイルでは迷わずアタマから狙え